上場ラーメン5社の4~6月期業績、持ち直しが広がるも「一風堂」「幸楽苑」で明暗

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写真はイメージです。

幸楽苑ホールディングス(HD)、力の源ホールディングスなど上場ラーメンチェーン5社の2022年4~6月期(第1四半期)業績はまん延防止等重点措置が3月に解除されたことなどを受け、持ち直しの動きが広がった。本業のもうけを示す営業損益は第1四半期として力の源HDが2年連続の黒字、ハチバンが3年ぶりの黒字を確保した。残る3社も赤字幅が縮小した。通期(2023年3月期)は5社がそろって営業黒字を見込む。

減収の幸楽苑、3割増の「一風堂」力の源

2022年度の第1コーナーである4~6月期の売上高は幸楽苑HDを除く4社が2ケタの伸びを確保した。

ラーメン「幸楽苑」を展開する幸楽苑HDの売上高は62億円と前年同期を0.7%下回り、微減ながらマイナスとなった。デリバリー、テイクアウトなど「中食」領域の取り組みを推し進めたものの、店舗数(6月末440店舗)が前年より10店舗ほど減ったことが影響した。営業赤字は3億4000万円といぜん水面下だが、赤字幅を約1億5000万円圧縮した。

3割を超える売上増となったのは「一風堂」を主力ブランドとする力の源HD。同社は全278店舗中、約半数の136店舗を北米、欧米、アジアなど海外に展開するが、国内事業が13%増の25億6400万円に対し、海外事業が57%増の23億円と大きく伸びた。営業黒字も2億8000万円を計上した。

「一刻魁堂」「ロンフーダイニング」のJBブレイン、北陸を地盤とする「8番らーめん」のハチバンはそろって20%台の大幅増収を達成した。九州を中心に「山小屋」「ばさらか」などをFC(フランチャイズ)主体に展開するワイエスフードも13%の2ケタの売上増を確保した。一方、営業損益はハチバンが3年ぶりに黒字に戻した一方、JBブレイン、ワイエスフードが赤字圏にとどまった。

原材料・エネルギー価格上昇が圧迫要因に

通期業績は5社すべてが2ケタの増収と営業黒字を見込む。想定通りなら、幸楽苑HD、JBイレブン、ハチバンは2020年3月期以来3年ぶりの営業黒字となる。力の源HDは3割の増益を予想する。ワイエスフードは7年ぶりの営業黒字を目指しているが、その額は100万円に過ぎない。

店舗運営を巡っては人件費や原材料・エネルギー価格の上昇が圧迫要因として重くのしかかっており、各社とも利益確保に四苦八苦する展開が避けられそうにない。

◎ラーメン上場各社の2022年4~6月期業績(下段は通期=2023年3月期見通し。単位億円、カッコ内は前年同期比増減率。△は損失)

社名 売上高 営業利益 店舗数
幸楽苑HD 62(0.7%減) △3.4(-) 440
280(12%増) 3(-)
力の源HD 54(31%増) 2.8(15倍) 278
237(22%増) 13(32%増)
ハチバン 17(27%増) 0.37(-) 285
74(25%増) 1(-)
JBイレブン 16(21%増) △0.75(-) 113
78(28%増) 1.3(-)
ワイエスフード 3.2(13%増) △0.15 136
14(9.9%増)
0.01(-)

文:M&A Online編集部