大手店舗で5%還元する楽天Pay、中小店舗で10%還元するPayPay どっちが勝つか

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同じ店舗でも利用するスマートフォン決済サービスで還元率が異なる

消費税が8%から10%に引き上げられる2019年10月1日を前にスマートフォン決済サービス各社の戦略が出そろった。

大手店舗で5%還元する楽天<4755>の楽天Pay、中小店舗で10%還元するPayPay(東京都千代田区)、一気に利用可能な店舗数の増大を目指すNTTドコモ<9437>、KDDI<9433>、LINE Pay(東京都品川区)、メルペイ(東京都港区)の4社連合など、中身はさまざまだ。

分かりやすさか、還元率の高さか

動向が注目されていた楽天は10月1日から12月2日まで楽天Payで支払いを行えば支払額の5%分のポイントを還元するキャンペーンを打ち出した。同社では第2弾も用意しているとしており、還元期間は伸びる見込み。

ただ対象の店舗には経済産業省のキャッシュレス・消費者還元事業で5%分のポイントが還元される店舗は含まれない。また同事業での還元率が2%の中小・小規模事業者が経営するコンビニエンスストアやガソリンスタンドなどのフランチャイズチェーン店は5%ではなく3%を上乗せして還元する。

つまり、楽天Payが使える店舗であれば、大手店舗であれ中小店舗であれ、どこの店舗で使用しても5%のポイントが還元されることになる。

先に消費税増税対策のキャンペーンを打ち出していたPayPayは、経済産業省のキャッシュレス・消費者還元事業で5%分のポイント還元が行われる店舗を対象に、最大5%分を上乗せし、合計で支払い金額の最大10%分を還元する。

PayPayが還元する5%の内訳は今回のキャンペーン分が3.5%で、残りの1.5%は、これまでのPayPay利用特典として還元してきた3%を1.5%に引き下げた分。 

このため中小・小規模事業者が経営するフランチャイズチェーン店については、還元事業による2%分と、PayPay利用特典の1.5%分の合計3.5%分が還元され、店舗によって還元率は1.5%、3.5%、10%の3通りとなる。

例えばキャッシュレス・消費者還元事業の対象とならない大手の店舗では、還元率は楽天Payが5%なのに対し、PayPayは1.5%に留まる。

キャッシュレス・消費者還元事業で5%還元対象店舗では、還元率はPayPayが10%なのに対し、楽天Payは5%となる。

キャッシュレス・消費者還元事業で2%還元対象店舗では、還元率は楽天Payが5%なのに対し、PayPayは3.5%となる。

どこの店舗で買っても5%還元という分かりやすさが選ばれるのか、それとも最大10%という高い還元率が選ばれるのか。両社の戦略の違いが勝負の分かれ目となりそうだ。

一方、NTTドコモ、KDDI、LINE Pay、メルペイの4社は、それぞれが開拓した加盟店すべてで、4社のスマートフォン決済サービスが利用できるようにし、利用できる店舗を一気に増やすことでPayPayや楽天Payに対抗する。

果たして10月1日はどんな日になるだろうか。

文:M&A Online編集部