要注意!楽天モバイル「使い放題ブラン」はiPhoneで使えない

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楽天<4755>は2020年3月3日に、「楽天モバイル」の自社回線サービス「Rakuten UN-LIMIT」プランを発表した。基本料金の月額2980円だけでデータ通信が使い放題の上、300万人に基本料金を1年間無料で提供するという「格安」プラン。魅力的なプランだけに発表直後にネット申し込みが殺到し、楽天モバイルのWebサイトが一時接続しにくい状況だった。

一見すると「良いことづくめ」のプランだが…。

良いことづくめのような「UN-LIMIT」プランだが、いくつかの注意点がある。すでに指摘されているが、無料なのは東京・大阪・名古屋などを中心とした大都市圏のみ。その他のエリアではKDDI<9433>が展開するauの回線を使用するため、月のデータ通信量が2ギガバイト(GB)を超えると速度制限がかかる。

つまり自社回線エリア外での使用頻度が高いユーザーには、かえって割高になる可能性がある。さらに利用者が当初想定よりも多くなり基地局整備が追いつかない場合は、自社回線エリア内での通信速度が著しく低下するおそれもありそうだ。

もう一つ注意しておきたいのは、「UN-LIMIT」プランはアップルのiPhoneシリーズには対応しないこと。当然、2020年3月に発売予定の「iPhone SE2」でも使えない。楽天モバイルの店頭では「今後iPhoneに対応する可能性もあるが、いつになるかは分からない」と説明している。iPhoneユーザーは「要注意」だ。

実はこの「iPhone非対応」は、楽天モバイルのプレスリリースウェブサイト(3月4日15時時点)などでは明示されていない。通信SIMの申し込み決済ページに進んで、ようやく「楽天回線対応製品をご購入、ご準備ください」と対応機種が写真入りで並ぶ。iPhone以外でも利用できない機種があるので、申し込み前に十分確認したい。

高シェアのiPhoneだけに「非対応」を明示すべき

国内スマートフォン(スマホ)総台数の半分を占めるiPhoneに対応していないのは、通信サービスとしては痛い。アンドロイドスマホよりもiPhoneの方が1台あたりの動画や音楽などデータ通信量が多いことはよく知られており、トラフィック(一定時間内のデータ通信量)を抑えるためにiPhoneを対象外にした可能性が高そうだ。

自社回線の整備に苦労している楽天モバイルだけに、こうした苦肉の策を取らなくてはならない事情は分かる。しかし、ユーザーが多いiPhoneに対応しないのであれば、もっと明確に告知すべきだろう。申し込みに当たっては「楽天回線対応製品が必要となります」で「了承した」を選択しなくてはならないが、少なくともここに「iPhoneには対応していません」の一言は付け加えるべきだ。

楽天モバイルも「『了承した』を選択したのだから、iPhoneで使えなくても責任は選んだユーザーにある」とまでは考えていないだろうが、消費者にそうした疑念や誤解を与えかねない。そうでなくてもiPhoneにSIMを挿入して使えないことが分かったユーザーから苦情や解約手続が殺到すれば、楽天モバイルも余計な仕事が増える。早い段階で「iPhoneには非対応」を明示すべきだろう。

文:M&A Online編集部