少し前の事例になりますが、2015年5月にAutomattic社がWooCommerceを買収しました。WooCommerceは、WordPressサイトが簡単にオンラインショップになるプラグインです。今回はこの買収を例に、Webサービスの開発に特化したプログラミング言語であるPHPを紹介します。
PHPは全世界のWebサイトの80%以上で使用されているとも言われる言語です。日本国内ではメルカリ、BASE、ぐるなび、SHOPLISTがPHP製のサービスです。海外ではFacebookがPHP互換の「Hack」という言語を開発し使用しています。
また、WordPressというPHP製のCMS(コンテンツ管理システム)が人気です。世界のWebサイトの4分の1がWordPressによって構築されているとも言われているほどです。
CMSは、文章や画像を投稿して表示するシステムです。CMSでフォームを作成することで、プログラムの知識がなくても記事の作成や編集などが出来るため、お問い合わせフォームや入稿ツールとしてもよく使われています。ブログサービスのようなものだと思っていただければ良いと思います。
実は今お読みいただいている「M&A Online」もWordPress製のサイトです。編集部ではWordPressで文章を書いたり画像をアップロードをして、記事を作成しています。海外ではTIMEやCNN、他にもEngadget日本版、WIRED.JP、東京国立近代美術館などがWordPressで作られています。
また、WordPressは企業のコーポレートサイトに使用されることが多いです。カカクコムやクックパッドのコーポレートサイトがWordPress製です。
EC(Eコマース)サイトにもPHPは使われています。ECサイトとは、オンラインショッピングサイトのことです。日本ではメルカリやBASE、SHOPLISTの開発にPHPが使われています。世界の40%近くのECサイトがWooCommerceというWordPressプラグイン(拡張プログラム)を利用しているそうです。ただ日本語の解説が少ないため、日本ではWooCommerceよりEC-CUBEの方が知名度が高いかも知れません。
ところで、冒頭にて「Automattic社がWooCommerceを買収」というニュースを紹介しました。実はこれまでの説明でこのニュースを解説することができます。
Automattic社は、WordPressのレンタルブログサービスを提供している会社です。創業者のマット・マレンウェッグ氏は、WordPressの開発者でもあります。
WooCommerce(ウーコマース)は、さきほど説明したように、WordPressをECサイト化するプラグインです。機能が充実していて、決済機能(標準でPayPalサポート)、クーポン発行、配送管理、在庫管理などが使えるようです。
つまり世界中で利用されているCMSのWordPressと、そのEC用プラグインの親和性が増したということになります。日本でもWordPressユーザーがWooCommerceの導入や機能についてブログなどで解説するようになりました。これからますますWooCommerceの存在感が増しそうですね。
PHPはRubyと同じようにサーバーサイドで動く言語で、LaravelやCakePHPなどのWebフレームワークが人気です。また、RubyやPythonに比べて簡単に書けるので、初心者がWebサービス作成に入門する際に向いている言語だと言われます。興味のある方は夏休みに触ってみてはいかがでしょう。
PHPは学習用の書籍やサイトが充実していますので、RubyやPythonに比べて学習しやすいと思います。その中でひとりで学べるおすすめを以下に紹介します。
・いきなりはじめるPHP~ワクワク・ドキドキの入門教室(書籍)
楽しみながらPHPでwebサイトを作ってみるというような構成です。プログラムを書いたことのない方でも読み進められると思います。データベースにも触れています。Webサイトがどういう仕組で動いているのかがひととおり理解できる良書です。
・ドットインストール(ウェブサイト)
IT分野の技術を動画で学べるサイトです。PHP入門だけでなく、CakePHPやLaravel、WordPressの講座もありますので段階的に学習できると思います。
・体系的に学ぶ 安全なWebアプリケーションの作り方 脆弱性が生まれる原理と対策の実践 (書籍)
PHPで作成したシステムを公開する際、セキュリティを意識する必要があります。特に個人情報やお金を扱うサイトではセキュリティ対策は必須です。最初は難しく感じるかと思いますが理解が進むと面白くなりますので、ひととおり学習することをおすすめします。
文:鶏肋/M&A Online編集部