スマートホン決済サービスを手がけるPayPayは6月から、ヤフー<4689>が運営するオークションサイト「ヤフオク」で、個人が販売した出品物の売上金をPayPayにチャージして加盟店などでの支払いに使用できるようにする。
2017年度にヤフオクで個人らが受け取った出品物の売上金は年間およそ9000億円。このうちPayPayにチャージされる金額の見通しは公表されていないが、一定割合はチャージされるものと思われる。
その理由はキャッシュレス化の進展に伴い、スマートホン決済に対するハードルが低くなっていることや、一旦オークションの売上金を銀行に振り込んでもらい、それをPayPayにチャージするよりも、売上金をそのままチャージする方が手間がかからないと感じる人が多いと思われるからだ。
現在、銀行への振り込み手数料の出品者負担はないものの、銀行振り込みの手間やコストを考えると、ヤフーがPayPayチャージへ誘導する何らかの新サービスを打ち出す可能性は高い。
PayPayは現在、支払い金額の20%を還元する第2弾100億円キャンペーンを実施中で、還元金額が100億円に達し次第キャンペーンを終了する。2月12からスタートし4月19日時点でまだ還元額は100億円に達していない。
20%還元のため還元額が100億円に達した時点で利用者による支払い額は500億円になる。いつ還元金額が100億円に達するかは分からないが、仮にキャンペーン期間として定めている5月末で100億円に達したとしたら、支払い金額は3カ月半で500億円という計算になる。1年間だと1700億円強となる。
ヤフオクでの出品物の売上金およそ9000億円のうち5分の1の1800億円がPayPayにチャージされれば、100億円キャンペーンとほぼ同じ規模になる。
メルカリも年間5000億円の出品物の売上金をメルペイにチャージしてスマートホン決済ができるようにした。これについてもどの程度がメルペイにチャージされるかは分からないが、3分の1の1700億円ほどであれば、PayPayの100億円キャンペーンと同程度のインパクトを持つ。
常にキャンペーンに近い効果が見込めるとなると、PayPayやメルカリの優位性は高まりそうだ。これに対しLINE Pay、楽天ぺイをはじめセブン&アイ・ホールディングスの7pay(セブンペイ)やKDDIのau PAY、ファミリーマートのファミペイなどは、どのような対策を打ち出してくるか。さらに新たな〇〇payが生まれている現在、早くも業界再編へのカウントダウンが始まった見ることができるかもしれない。
今後は新たに生まれてくる〇〇PayのM&Aにも関心が集まりそうだ。
文:M&A online編集部