大学発ベンチャーの「起源」(61) InnoJin  

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(同社ホームページより)

InnoJin(東京都文京区)は順天堂大学発のデジタルヘルスベンチャー。ICT(情報通信技術)を駆使して医療や健康管理のサポートするため、2020年12月に設立された。医療のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、遠隔診断や診療補助、治療などに役立てる。

スマホを利用したモバイル医療の実現を目指す

さらにはスマートフォン(スマホ)やタブレット端末などを利用した医療行為や診療サポートを導入。そうしたデジタル化で集積された医療ビッグデータ解析などを利用して、遠隔地からでも医療にアクセスできる「モバイルヘルス」の実現を図る。

同社が開発した「アレルサーチ」は、花粉症研究用のスマホアプリ。研究者に情報を提供するだけではなく、画像撮影による目の赤み度やアンケートから花粉症レベルを数値化して示す「花粉症レベルチェック」や「おすすめの花粉症対策」、どの地域にどのくらいの花粉症レベルの人がいるかが分かる「みんなの花粉症マップ」といった花粉症予防に役立つ情報を被験者に提供する。

「ドライアイリズム」は、スマホアプリ型ドライアイ診断補助用プログラム医療機器として薬事承認を目指している。同アプリはマートフォンを使って5分でドライアイチェックができると同時に、順天堂大学眼科とデータ共有することでドライアイ研究にも役立てる。

ドライアイは国内だけでも2000万人以上が罹(かか)っているとされ、社会の高齢化やデジタル作業の増加などで今後も患者が増えると予想されている。この研究により「2021年度研究開発型スタートアップ支援事業 NEDO Entrepreneurs Program(NEP)」の助成事業者に選ばれた。

同助成事業で診断補助が実施できるようになれば、非侵襲・非接触でのドライアイ診療が可能となる。眼科の遠隔・オンライン診療でも自覚症状の問診だけでなく、ドライアイ症状に対する定量的な評価ができる。

同社では今夏から、「ドライアイリズム」の多機関共同特定臨床研究に取り組む。その成果をもとに検証的治験を実施し、医療機器としての薬事承認を目指す。2025年をめどに眼科医院での利用を開始する予定だ。

文:M&A Online編集部