強い「ギョーザ」と「牛丼」大阪王将と吉野家がV字回復へ

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コロナ禍で赤字転落した、ギョーザチェーン店「大阪王将」を展開するイートアンドホールディングス(HD)<2882>と、牛丼チェーン店「吉野家」を展開する吉野家ホールディングス(HD)<9861>が、V字回復する見通しとなった。

両社は2021年2月期に当期赤字に陥ったが、2022年2月期にそろって黒字転換する。売上高については、吉野家HDが2021年4月1日に子会社の京樽(東京都中央区)を売却した影響などもあり、引き続き減収が避けられないが、イートアンドHDは2021年1月にタンメンチェーン店を展開する一品香(横浜市)を子会社化したことなどもあり、コロナ前を上回る見込みだ。

営業時間の短縮要請や外出の自粛要請などから、外食産業は厳しい経営状況にあるが、根強い需要に支えられたギョーザや牛丼は、新型コロナウイルスに対して強い業態であることが改めて浮かび上がった。

一品香の子会社化なども寄与

イートアンドHDは2022年2月期の見通しについて「主力の大阪王将ブランドの生活立地型の出店を積極的に進め、コロナ禍からの回復に拍車をかける」と、前向きな姿勢をとる。

同社は大阪王将などの外食事業と、冷凍食品の「大阪王将 羽根つき餃子」などの食品事業を経営の2本柱としており、外食事業と同様に食品事業についても「新型コロナウイルス感染症収束後の生活を見据えた、新たなニーズにマッチした新商品の開発を進める」と積極的。

2021年2月期は不採算店の閉店や財務体質の改善などに伴い、11億円を超える特別損失を計上したため当期損失が2億200万円となったものの、2022年2月期は積極的な販売策の採用で2億円の当期利益を確保できる見込みだ。

2021年2月期に2億円台だった営業利益、経常利益は2022年2月期にコロナ以前の2020年3月期(2021年から決算期を2月に変更)に並ぶ8億円台にまで回復する。

売上高については2022年2月に、コロナ前の2020年3月期を13億円ほど上回る317億200万円を見込む。子会社化した一品香(2019年12月期の売上高は8億1900万円)の売り上げが加わるのも増収の一因となる。

【イートアンドHDの業績推移】単位:億円、2022年2月期は予想、2021年2月期は決算期変更のため11カ月決算

2020年3月期 2021年2月期 2022年2月期
売上高 303.61 259.64 317.02
営業損益 8.1 2.61 8.00
経常損益 8.08 2.79 8.01
当期損益 3.4 △2.02 2.00

子会社売却が黒字化の一因に

吉野家HDは2022年2月期に、店内飲食の増加を目的にキャンペーンを積極的に展開するほか、テイクアウトやデリバリーの需要を取り込むため、新商品開発やデジタルツールの機能強化などに取り組む。

さらに中食・内食市場の開拓のため、国内外で冷凍牛丼の販売増強に向けた生産体制の強化や、中国工場での設備投資に取り組むほか、新しい生活様式への適応を進めるため、グループシナジーを活かしたコラボレーションメニューの販売なども行うという。

こうした対策で、2021年2月期に75億円を超える損失を計上した当期損益は、2022年2月期には20億円の黒字に転じ、営業損益、経常損益も黒字転換する見込みだ。

2021年2月期に22億円を超えるセグメント赤字を計上した子会社の京樽を売却したことも黒字化の一因となる。ただ売上高については京樽分(2021年2月期の売上高は188億9900万円)がなくなるため、2021年2月期に比べ152億円ほどの減収となる。

【吉野家HDの業績推移】単位:億円、2022年2月期は予想

2020年2月期 2021年2月期 2022年2月期
売上高 2162.01 1703.48 1551.00
営業損益 39.26 △53.35 27.00
経常損益 33.69 △19.64 52.00
当期損益 7.13 △75.03 20.00

文:M&A Online編集部