「王将フードサービス」「カッパ・クリエイト」「木曽路」も業績悪化 赤字転落も

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写真はイメージです

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、2021年3月期の業績予想を未定としていた中華料理店「餃子の王将」を展開する王将フードサービス<9936>、回転すし店「カッパ寿司」を展開するカッパ・クリエイト<7421>、しゃぶしゃぶ店「木曽路」を展開する木曽路<8160>の3社がそろって、厳しい内容の予想数値を公表した。

木曽路が前年度(2020年3月期)の14億2600万円の営業利益から一転、16億円の営業赤字に陥るのをはじめ、王将フードサービス、カッパ・クリエイトの両社は黒字ながら、大幅な営業減益が避けられない。

新型コロナウイルス感染症収束の見通しが立たない中、政府が実施している飲食店を利用した消費者にポイントを付与するGoToイートキャンペーンの効果も限定的であり、飲食業の業績の悪化には、まだまだ歯止めがかかりそうにない。

全段階で赤字転落

木曽路が2020年10月30日に発表した2021年3月期第2四半期決算によると、うなぎフェア、北海道祭りなどのイベントの開催や、持ち帰り弁当を新たに始めるなどの対策を実施したものの、外食の自粛や大人数での飲食が敬遠されたことから、前年同期比33.4%の減収となり、営業損益も30億円を超える赤字となった。

このため通期でも赤字は避けられないと判断。2021年3月期は売上高355億円(前年度比19.2%減)、営業損失16億円(前年度は14億2600万円の利益)、経常損失12億2000万円(同14億4600万円の利益)、当期損失14億円(同5億7300万円の利益)と、厳しい業績予想を公表した。

【木曽路の業績推移】単位:億円、2021年3月期は見込み


2019年3月期 2020年3月期 2021年3月期
売上高 450.86 439.24 355
営業損益 25.73 14.26 △16
経常損益 25.64 14.46 △12.2
当期損益 16.59 5.73 △14

66%の営業減益に

カッパ・クリエイトも2020年10月30日に2021年3月期第2四半期決算を発表。期中に超創業祭や超本鮪大集合、超豪華ネタ大放出などの希少性や限定感のある商品を投入したものの、同第2四半期は前年同期比21.0%の減収、17億1000万円の営業赤字となった。

ただ、下期については消費が徐々に回復すると判断しており、2021年3月期は売上高708億1700万円(前年度比5.3%減)、営業利益3億5500万円(同66.4%減)、経常利益3億9700万円(同74.0%減)、当期利益4億1700万円(前年度は2億6700万円の赤字)を見込む。

【カッパ・クリエイトの業績推移】単位:億円、2021年3月期は見込み

2019年3月期 2020年3月期 2021年3月期
売上高 761.58 748.14 708.17
営業損益 6.29 10.57 3.55
経常損益 7.6 15.29 3.97
当期損益 1.42 △2.67 4.17

売上高は5.8%の小幅減収

王将フードサービスも同日に2021年3月期第2四半期決算を発表。デリバリーサービス対応店を増やしたほか、自宅で調理できる生餃子の販売に力を入れるなどした結果、売上高は前年同期比8.0%の減収にとどまった。

通期ではさらに回復傾向が現れるとみており、2021年3月期は減収減益が避けられないものの売上高806億4800万円(前年度比5.8%減)、営業利益57億5900万円(同25.2%減)、経常利益61億6300万円(同23.8%減)、当期利益37億8600万円(同28.7%減)と3社の中では、比較的小幅な落ち込みとなる。

政府の対策などもあり4月、5月を底に景気に回復傾向が見られるものの、前年度を上回るほどの力強さはない。外出の自粛などの影響が大きく現れる飲食業では当面、前年実績割れの状況が続きそうだ。

【王将フードサービスの業績推移】単位:億円、2021年3月期は見込み


2019年3月期 2020年3月期 2021年3月期
売上高 816.38 855.71 806.48
営業利益 69.24 76.98 57.59
経常利益 73.1 80.84 61.63
当期利益 41.89 53.11 37.86

文:M&A Online編集部