「日本旅行」eスポーツ事業に参入 次に来るものは?

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写真はイメージです

日本旅行(東京都中央区)が、非旅行分野の事業拡大に力を入れている。同社は2022年1月20日に、デジタル教育施設「REDEE(レディー)」(大阪府吹田市)を運営するレッドホースコーポレーション(東京都墨田区)と、eスポーツ(スポーツ競技のように楽しむコンピュータゲーム)事業に関するコンサルタント契約を結び、老人向けeスポーツ事業の共同開発に乗り出した。

1カ月ほど前の2021年12月17日には、SOMPOホールディングス<8630>などと業務提携し、ワクチン接種証明・陰性証明アプリの普及事業に着手したばかり。

同社は旅行代理店業から、顧客と地域の課題解決に貢献するソリューション事業への転換を進めており、今後も新しい分野に踏み出す可能性は高い。eスポーツの次ぎには、何が来るのだろうか。

高齢者向けのリクレーションイベントを開発

日本旅行とレッドホースコーポレーションの両社は、コンピュータゲーム(ビデオゲーム)を活用した高齢者施設向けのレクリエーションイベントを共同で企画、運営する。

このイベントを通じて、社会問題化しているデジタルデバイド(情報格差)の解消に役立つ取り組みを展開するほか、老人から若者までをつなぐ、新しい社会コミュニケーションの形を提供する。

「REDEE」は、ゲームの体験を通じて、デジタル技術をはじめ、広域な知識やスキルを獲得するための施設で、ここでのノウハウを活用して高齢者施設向けの新しいレクリエーションイベントを構築する。

すでに両社は実証実験として、2021年12月12日に、有料老人ホーム・サンシティパレス塚口(兵庫県伊丹市)で、 60代~90代の入所者を対象にeスポーツ体験会を開催しており、こうした実験の結果も新しいイベント作りに盛り込んでいく。

旅行会社はいずれも赤字決算

旅行代理店は新型コロナウイルス感染症の影響で厳しい経営状況にあり、いずれも非旅行事業の拡大に取り組んでいる。JTB(東京都品川区)は、ふるさと納税事業やオンラインサービス、人事総務系などのソリューション事業を強化しており、エイチ・アイ・エス(HIS)<9603>は、電力小売りなどのエネルギー事業を拡大している。

それでも業績を支えるところまでは育っておらず、JTBの直近の2022年3月期第2四半期決算では、営業損益は331億円の赤字(前年同期は711億円の赤字)で、HISも直近の2021年10月期決算では、営業損益は640億5800万円の赤字(前年度は311億2900万円の赤字)だった。

日本旅行も同様で、2021年8月27日に公表した2021年12月期中間決算では、営業損益は21億7600万円の赤字(前年同期は64億4100万円の赤字)となっており、いずれも本業の儲けを占めす営業損益は水面下だ。

非旅行事業の拡大で、これら数字は今後どのように変わっていくだろうか。

文:M&A Online編集部