紗栄子さんが経営する那須ファームヴィレッジ 、牧場を買収した会社はどこ?

alt
NASU FARM VILLAGE

モデルの紗栄子さんが栃木県大田原市にある牧場「NASU FARM VILLAGE(那須ファームヴィレッジ)」の経営に乗り出し、再生させたと話題になっています。殺処分の運命にある馬を引き取るとして、クラウドファンディングでその事業への出資者を募り、7,600万円を集めました。目標額1,500万円の5倍です。

栃木県の地方紙である下野新聞によると、牧場を取得したのはNOT A HOTEL(東京都渋谷区)。この会社は牧場の敷地内に「NOT A HOTEL NASU」を建設し、2022年11月にオープンする計画を立てています。

経営に行き詰っていた牧場を買い取り、紗栄子さんの手でブランド構築をして再生。そこに別荘とホテルを融合した建物を建設するNOT A HOTELとはどのような会社なのでしょうか?この記事では以下の情報が得られます。

・NOT A HOTELの概要
・NASU FARM VILLAGEの変遷

GIグループの傘下にあった牧場

那須ファームヴィレッジは、2004年10月に設立された有限会社那須野ヶ原ファーム(栃木県大田原市)が運営する「那須野ヶ原ファーム」が前身。2014年4月にアイランドリゾート阿蘇(熊本県阿蘇市)が「アイランドホースリゾート那須」としてリブランドオープンしました。アイランドリゾート阿蘇は、投資事業を行うゼネラルインベストメント(東京都港区)傘下にある会社。ゼネラルインベストメントは、不動産事業や経営支援などを行う会社が集まるGIグループを統括しています。

GIグループは、人材派遣のスタッフサービス(東京都千代田区)の創業者である岡野保次郎氏が、リクルートホールディングス<6098>に事業を売却した後、それまでに立ち上げた事業を集めてできた会社です。

すなわち、「アイランドホースリゾート那須」は資本力の強い会社のもとで運営されていましたが、観光地としての盛り上がりには欠けていました。要因の一つが立地。”那須”という名前がついていますが、観光地として有名な那須町ではなく、大田原市に位置しています。大田原市は観光資源に乏しく、観光目的で進んで足を運ぶ場所とは言えません。

インスタグラマーとしても知られる紗栄子さんは、多くの消費者に対して那須ファームヴィレッジに行く理由を作りました。殺処分される馬を引き取るという運営方針やコンセプトを打ち出して多くの人の共感を呼び込み、クラウドファンディングによってファンの土台を築き、Instagramで情報を発信して認知を広げたのです。

牧場を買収したNOT A HOTELの濱渦伸次社長は、下野新聞のインタビューに答えており、ホテル建設地としてこの場所を選んだ理由を以下のように語っています。

「初めて来た時、この景観に一目ぼれした。東京から新幹線で約1時間。これだけのランドスケープがあるのは魅力。大田原はすごく良い場所なのに全国的に知られていないのは、滞在場所がないからと感じた。良いホテルが出来れば、富裕層も含め東京から人もお金も引っ張って来られる」

濱渦伸次社長は、観光スポットを作ることに成功しました。次のステップとして、一番の狙いだった滞在施設を建てる計画を立てているのです。

1棟の値段は8億円

NOT A HOTELはその名の通り、ホテルではありません。オーナーが別荘として使う物件を提供し、利用しない期間をホテルとして貸し出すことを提案しています。オーナーは専用のアプリで物件を使い分けることができます。ホテルの運営はすべてNOT A HOTELが行い、オーナーに負担はかからない仕組みです。

第1弾のプロジェクトとなったのが、「NOT A HOTEL NASU」。2021年9月に購入申し込みの受付を開始しています。

※NOT A HOTEL「NOT A HOTELオンラインストアを公開 第一弾となるフラッグシップモデルの販売を開始」より

1棟の購入金額は8億3,760万円。物件の所有権が得られます。この金額とは別に管理費が毎月1,335,360円かかります。NOT A HOTELはシェア購入制度を導入しており、毎年30泊利用(物件の1/12の所有権を保有)する権利を6,980万円で販売しています。この場合の管理費は月額111,280円です。

公式ホームページではホテルとして貸し出した場合のシミュレーションを提供しており、1棟を購入して360日貸し出した場合の年間収入見込みを3,200万円と算出しています。

NOT A HOTELは別荘、集合住宅、民泊、ホテルを融合し、富裕層に新たなサービスを提案しています。このユニークな事業を立ち上げた濱渦伸次氏は、アラタナ(宮崎県宮崎市)の創業者。アラタナは、インターネットショップの構築や運営、集客をサポートするサービスを提供していました。2015年5月に会社をZOZO<3092>に売却。ZOZOテクノロジーズ(東京都渋谷区)の取締役などを務めた後、2020年4月にNOT A HOTELを創業しました。

NOT A HOTELは2021年9月にGMO Venture Partners(東京都渋谷区)、オープンハウスグループ<3288>などを引受先とした第三者割当増資を実施。8億5,000万円を調達しました。この時点で累計調達額は18億5,000万円に達しています。

麦とホップ@ビールを飲む理由