日本特殊陶業、CVC「Niterra 水素の森ファンド」を設立 M&Aも活用し水素社会の実現に注力

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プラグ(写真はイメージです)

自動車用プラグや排気センサーなどの大手、日本特殊陶業<5334>は、ベンチャーキャピタルのグローバル・ブレイン(東京都渋谷区)と共同でCVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)ファンド「水素の森投資事業有限責任組合」(呼称:Niterra 水素の森ファンド)を立ち上げた。

水素や炭素循環に関連するスタートアップに投資することで、水素社会や炭素循環型社会の早期実現を目指すのが狙い。出資先スタートアップの技術開発や成長を支援するため、同社小牧工場(愛知県小牧市)内に敷地面積5000平方メートルの実証フィールドを2024年11月に設置する。

日本特殊陶業は2025年3月期を最終年とする4カ年の中期経営計画で、新規事業強化のためにCVCを活用したスタートアップへの投資を戦略として掲げており、合わせてM&Aを積極化する方針も打ち出している。

2025年3月期まで残り1年ほど。CVC投資とM&Aが相まって新規事業の開拓が加速することになりそうだ。

スタートアップとの協業で新規事業を開拓

Niterra 水素の森ファンドはグローバル・ブレインがGP(無限責任組合員)、日本特殊陶業がLP(有限責任組合員)となって運用する。運用期間は10年で、運用総額は40億円を見込む。

水素社会や炭素循環型社会の実現を促進するためには、日本特殊陶業の事業領域に限らず、さまざまなアイデアを持ったスタートアップへの投資や成長支援が必要と判断した。

同社では、すでに水素利用や炭素循環に関する技術として、燃料電池や二酸化炭素(CO2)の回収、利用などの技術開発に取り組んでおり、水素の森ファンドでは、こうした同社が保有する技術とスタートアップが持つ技術を活用して、新しい水素、炭素循環関連技術を開発する。

Niterra 水素の森ファンドでは、スタートアップとの協業よる新規事業の開拓だけでなく、官公庁や地域社会との信頼構築、社内人材の育成、社内風土の改革などの実現に向けても取り組みを強める。

中期経営計画を1年前倒しで達成

日本特殊陶業の中期経営計画では「既存事業と新規事業が独立しながら、両輪で走る」を基本方針としており、新規事業の開拓では、Niterra 水素の森ファンドとは別に、ベンチャーキャピタルを通じて、年間5件程度の少額出資(数千万円-数億円)と、中期経営計画期間中の4年間に500億円ほどに達するM&Aを見込んでいる。

こうした取り組みで最終年の2025年3月期に、売上高6000億円、営業利益1000億円を目指していたが、2024年3月期に売上高6144億8600万円(前年度比9.2%増)、営業利益1075億9100万円(同20.6%増)を実現し、1年前倒しで計画を達成した。

2025年3月期はさらに増収増益を見込んでおり、今後M&Aなどが加わればさらなる上振れの可能性もありそうだ。

【日本特殊陶業の業績推移】2025/3は予想

決算期 売上高(億円) 営業利益(億円)
2020/3 4262.07 464.44
2021/3 4275.46 473.89
2022/3 4917.33 755.12
2023/3 5625.59 892.19
2024/3 6144.86 1075.91
2025/3 6430.00 1150.00

文:M&A Online

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