会社を売りたい人が15.8倍に急増「日本公庫」の事業承継マッチング支援事業で

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日本政策金融公庫(日本公庫)が取り組んでいる「事業承継マッチング支援」事業の2021年度の申込件数が前年度の8.45倍の3178件に急増した。特に会社を売りたい経営者は前年度の15.8倍に達した。経営者の高齢化や新型コロナウイルス感染症拡大の影響などにより、後継者不在の小規模事業者からの譲渡希望が一気に膨らんだ。

会社を買いたい人も前年度比7.0倍の2143件に増えており、コロナ禍を乗り越えるために新分野進出や事業転換などを検討している人や、事業を受け継いで創業を目指す人が増えていることが分かった。こうした申し込み案件の増加に伴って譲渡希望者と譲受希望者との引き合わせ件数も同5.33倍の245件に達した。

経済産業省によると、2025年までに70歳を超える中小企業、小規模事業者の経営者は約245万人で、このうち約半数の127万人が後継者未定という。このため第三者承継を目指す経営者が一気に増える可能性があると見られており、同事業に対するニーズはさらに高まりそうだ。

引き合わせ件数は200件台に

「事業承継マッチング支援」事業は、後継者不在の小規模事業者と事業の譲受を希望する人を引き合わせ、第三者承継を支援する取り組みで、2019年にスタートした。

2019年度の申し込み件数は331件(譲渡希望93件、譲受希望238件)、2020年度は同376件(譲渡希望70件、譲受希望306件)だったが、2021年度は一気に3000件(譲渡希望1035件、譲受希望2143件)を突破。引き合わせ件数も2019年の32件、2020年の46件に対し、2021年は一気に200件台に達した。

日本公庫によると2021年度には、オーストラリア産のワインや、流通量の少ない日本酒などを取りそろえていた酒屋を、ワイン販売に20年以上携わり、ソムリエの資格を持つ、ワインマニアが承継した事例などがあったという。

文:M&A Online編集部