お茶を点てる仕草が「NFTアート」に カルビーなども参入 

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写真はイメージです

新たなファンコミュニケーションの手段に

NFT(非代替性トークン)が広まりを見せている。コンサルティング事業などを展開するKT VACE(東京都中央区)は、一点物の伝統工芸品を創作してもらえる権利の付いたNFTの販売を始めたほか、新しい体験や価値を生み出す事業を手がけているネイキッド(東京都渋谷区)は、金沢21世紀美術館(金沢市)で、来場者がお茶を点てる仕草をNFTアートとして生成、保有できるサービスを提供する。

さらに、スナック菓子大手のカルビー<2229>は、CryptoGames(東京都渋谷区)の農業体験ゲーム「Astar Farm」上で、同社初となるNFTを1万人に無料で配布する。バーチャル(仮想)とリアル(現実)を融合させた価値創造による新たなファンコミュニケーションを実現するのが狙いという。

NFTは、アートやゲーム、会員権、不動産所有の証明などで、活用が進んでおり、今後も企業のPRや販売促進などを目的に同分野に参入するケースが増えそうだ。

日本の文化と伝統を守るのに一役

KT VACEは2022年7月18日に、伝統工芸の職人に一点物の制作依頼ができる権利を付けたNFTを世界最大級のNFTマーケットプレイスである「OpenSea(オープンシー)」で発売した。

日本の文化と伝統を守るのが狙いで、すでに書道家や陶芸家などが参画しており、将来的には100人の伝統工芸家の参画を目指すという。

アートや音楽などのNFTの商品数や購入者数が急増していることから、伝統工芸品でも同様の取り組みを展開し、職人を支援することにした。

ネイキッドは8月6日から9月3日まで金沢21世紀美術館で、企画展「NAKED meets 千利休」を実施する。お茶を点てる仕草をNFTアート化するのは、この企画展の一環。

同社ではリアル企画展と同時に、仮想空間にメタバースミュージアムもオープンし、このために制作した伝統と革新のNFTアートのオークションを実施する。

さらに、もっと気軽にNFTアートが保有できるように、金沢21世紀美術館で開催される企画展の入場権利とセットになったNFTチケットも販売する。シリアルナンバー(識別のための番号)が割り当てられたチケットをNFTアートとして保有できるという。

カルビーの無料NFTは、7月21日から31日までの間にAstar Farmを利用した人を対象に、後日発表する参加条件を満たした人の中から抽選で配布する。

Astar Farmは暗号資産「ASTR」を預けることで、バーチャル空間上の畑で作物の栽培が可能となり、収穫した野菜はゲーム内で販売し「ASTR」を獲得することができる。

カルビーは、バーチャル空間での体験価値の需要が高まっていることから、今回の取り組みを決めた。

文:M&A Online編集部