2024 新年ごあいさつ|M&A Online編集部

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M&A Onlineは昨年9月、2015年7月の設立以来初めて編集方針を改定しました。

「M&Aをもっと身近に。」をモットーに掲げ、M&Aを中心に幅広い経済ニュースを扱って参りました。M&Aを身近に感じていただくため、多くのユーザーにとって身近な話題を選び、時には映画など経済とは関係のない記事も配信しておりました。

しかし、8年の間にM&Aをめぐる認知は大いに進み、ウェブメディアが社会的に求められる役割も大きく変化しました。

2023年は東芝の株式非公開化を目的としたTOB(株式公開買い付け)をはじめ、日本製鉄によるUSスチールの買収など大型案件が相次ぎ、上場企業のM&Aが16年ぶりに1000件を超えるなど、M&A市場が活況を呈した1年でした。ビッグモーターの不正請求や、ジャニーズ事務所の性加害問題など、企業による大規模な不祥事も目立った1年でしたが、企業の存在を揺るがす不祥事の後には、M&Aという選択が当然のように選ばれるようになりました。

もはや、M&Aは「たまに発生するニッチな話題」から「経済ニュースの中心」になろうとしています。

M&A Onlineは、日本最大級のM&A専門メディアとして、急激な時代の変化の中で、M&Aとどう向き合うべきか。M&Aに関わる多くのステークホルダーにとって、有益な情報をいかに提供し続けるか。模索を続けて参ります。

また、この1年急速に普及した生成AIは、我々ウェブメディアの環境を激変させました。発表されたリリースを記事の体裁に直しただけの「発表もの記事」。複数の記事のおいしいところを集めた「まとめ記事」。検索エンジンの癖を先読みして上位表示を目指す「SEO記事」。長年ネットを席巻していた、一次取材を伴わないこうした記事は、AIによって自動的に生成されるようになりました。人の手は、ほとんど必要なくなりました。

機械によってつくられた膨大な記事があふれる中、本当にユーザーが必要としている記事は何か。それをいかに届けるか。真剣に考える時が来ています。

例えば東芝が上場廃止となった件では、東芝の経営者、取引先、従業員、官僚、個人投資家、そしてアクティビストと、立場によってまるで見え方が違います。国内メディアはどうしても東芝の経営者か、個人投資家の視点で記事を書いてしまいます。M&A Onlineは、M&Aに関わる実務家にとって、ステークホルダーにとって、それぞれ役に立つ視点を提供していかねばなりません。

M&A Onlineは、ウェブサイトのデザインなどのリニューアルを順次進めて参ります。見せかけの刷新ではなく、「M&Aをもっと身近に。」という原点に立ち返り、有益な情報をわかりやすく提供するべく、精進を続けたいと思います。

皆さまにおきまして、2024年が良き1年になりますことを心よりお祈り申し上げます。

2024年元旦

M&A Online 編集長 大畑滋生