「飲料・食品」10~12月に値上げラッシュか 値下げ企業もちらほら

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写真はイメージです

飲料・食品業界で2社に1社が、2022年8月以降に値上げを予定していることが分かった。すでに実施した企業を含めると実に9割近くに達する。

化学品や鉄鋼、機械、建材などの工業分野でも同様の傾向が現れており、生活に身近な飲料・食品だけでなく、この秋は、さまざまなモノの価格が上がる見通しだ。

そんな中、あえて値下げに踏み切る飲食企業もある。値上げの背景にはウクライナ情勢に伴う原材料価格の高騰や円安の進行などがあるだけに、どこまで耐えられるだろうか。

9割ほどの企業が値上げ

帝国データバンク(東京都港区)が8月12日から18日の間に、インターネットを用いて調査した(有効回答企業数は1401社)。

8月以降1年以内に値上げする予定の企業は「飲料・食品卸売り」で47.3%に達しており、特に10~12月では34.5%(全業種では16.7%)となった。2022年4月以降に値上げを実施した企業を合わせると87.3%となり、ほとんどの企業が値上げに踏み切ることになる。

他の業界で8月以降に値上げを予定している企業の割合が高かったのは、化学品製造の47・9%、飲料・食品・飼料製造の46.4%、鉄鋼・非鉄・鉱業の41・8%(全業種では31.4%)で、すでに実施している企業を合わせると機械・器具卸売りの87.7%、建材・家具・窯業・土石製品卸売りの87.5%、鉄鋼・非鉄・鉱業の87.3%(全業種では69.6%)の順だった。

半面、値上げできなかった企業も少なくなく、運輸・倉庫=34.2%、情報サービス=27.9%、不動産=23.8%(全業種では14.3%)で割合が高かった。

値下げ企業は増えるのか

一方、値上げラッシュの中、値下げに踏み切る企業もある。ドミノ・ピザ ジャパン(東京都品川区)が展開する宅配ピザチェーンのドミノ・ピザは「ニッポン応援プロジェクト」として8月22日から9月11日まで、ピザのマルゲリータMサイズを、990円の通常持ち帰り価格を600円で提供する。

同社は8月1日から21日までは、ドミノ・デラックスMサイズの持ち帰り価格を995円から600円に値下げしていた。

SANKO MARKETING FOODS<2762>は2022年8月23日に、全品270円均一の店舗「金の蔵」を10年ぶりに復活させた。

金の蔵は2009年にオープンし、料理もアルコール飲料もすべて270円で提供していたが、270円均一を取りやめていた。

2022年版270円金の蔵としてオープンするのは池袋西口店で、同店では社員が漁に出て水揚げした鮮魚を提供するほか、からあげGP金賞(日本唐揚協会主催)を受賞した唐揚げも270円で提供する。

こうした対策は、いつまで継続することができるのか。さらに、これから値下げに踏み切る企業は増えるのか。消費者の関心は高そうだ。

文:M&A Online編集部