飲食店  夏に、もう一段の「値上げ」も 企業業績は減益に

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主要外食100社のうち、29社が過去1年ほどの間(2021年4月-2022年4月)に値上げを行い、このうち2021年4-12月が14社だったのに対し、2022年1-4月は15社に達し、値上げが急速に広まっていることが分かった。

ロシアによるウクライナ侵攻によって、穀物や食用油脂、原油などの相場が上昇しているところに、1ドル130円を超える円安が重なり、急激なコストアップに見舞われているのが要因で、値上げの平均は77円だった。

帝国データバンク(東京都新宿区)が、上場している主要な外食企業100社を対象に4月27日時点でまとめたもので、現状が続けば「2022年夏ごろから値上げがさらに進む可能性がある」としている。

テイクアウト対応もコストアップ要因に

値上げを実施した外食企業は、牛丼やファミリーレストラン、うどんなどの低価格チェーン店が多かった。

食肉、小麦粉、原油などが高騰しているのが値上げの主な理由で、コロナ禍で増大したテイクアウト需要で包装材のコストが増加したほか、テイクアウト対応のための人員配置による人件費アップも影響した。

同社が外食企業約600社を対象に、売上高に占める原材料価格などの割合を表す原価率を調べたところ、2021年度は37.5%となり、2003年度(37.9%)以来18年ぶりの高い水準となった。

原材料価格の上昇に伴い、原価率が悪化しているわけで、ウクライナ情勢や円安が長期化すれば、多くの外食企業が赤字に陥る可能性がある。

減益予想は2.2ポイントアップの33.6%に

帝国データバンクが全国の2万4561社を対象(回答率47.9%、調査期間2022年3月17日~31日)に、2022年度(2022年4月期~2023年3月期)の業績見通しを調査したところ、増収になると答えた企業は2021年度の実績見通しより0.9ポイント多い33.8%となった一方、減益になると答えた企業は同2.2ポイント多い33.6%となった。

新型コロナの感染対策の拡充や値上げなどによって、増収を見込む企業が増えるものの、原材料価格の高騰が利益を圧迫する状況が浮かび上がった格好だ。

2022 年度業績見通しの上振れ材料は、新型コロナなどの「感染症の収束」が、下振れ材料は「原油・素材価格の動向」が、それぞれトップとなっており、2022年度は外食産業をはじめ多くの業界で値上げ、原材料価格、コロナがキーワードとなりそうだ。

文:M&A Online編集部