事業承継の新手法“サーチファンド” 経営者に必要な素質とは?

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オンラインセイナー「事業承継の新たな可能性“サーチファンド”とは?」

M&A仲介のストライクは1月25日、オンラインセミナー「事業承継の新たな可能性“サーチファンド”とは?」を開催した。National Search Fundの山根孝代表取締役 FounderがサーチファンドのビジネスモデルやM&Aとの違いについて説明。実際に経営者を志願する「サーチャー」2人も登壇し、自らを売り込むピッチ(短時間のプレゼン)を行った。

サーチファンドとは?


第一部では、National Search Fund(東京都)の山根孝代表取締役 Founderが、サーチファンドのビジネスモデルについて説明した。

サーチファンドは、経営者になりたい個人「サーチャー」に、企業の経営を承継してもらう仕組み。サーチファンドは、サーチャーに会社を買収する資金を出資。51%以上の株を持つことで、会社のオーナーとなったうえで、その後3年から5年をかけて承継企業を成長させる。そのうえで、新規上場(IPO)や経営陣による買収(MBO)、第三者承継(M&A)など適切なEXITの方法を探る仕組みだ。

もともとのオーナーも株をある程度持ち続け、新しいオーナーであるサーチャーの成長を支援。サーチファンドも経営について提案をすることで支援する。「サーチファンドの対象になるのは、自分の会社を承継後も成長させたいという、オーナーの方。早く次のことをやりたい、経営から一線を退きたいという方であれば、M&Aという選択肢の方がベストではないか」。

サーチファンド設立の意図

日本の場合、優秀な若い人の多くが、東京の大手企業にたくさん就職している。一方で、グローバルに見てみると、優秀な人ほど、自分で起業したり、会社を持ったりしている国が多い。という中で、何とか日本の優秀な人材を世の中に出していきたい。「後継者不在を解決するために、優秀な人材が後継者のいない中小企業を承継することに大きな価値を感じた」。

中小企業経営者に求める人材は「逃げない人」

経営者候補を審査する際のポイントとしては「年上からも年下からもなぜかかわいがられる」「この人は次の経営者だからついていこう。この人のためにやっぱりもう1時間残業して頑張ろうとか、そういった意欲が湧く人間かどうか」という、人を惹きつける力の重要性に言及する。

そして、非常に大事なポイントとして「逃げないこと」を挙げた。

中小企業を経営する上で、承継した後に「やっぱり合わなかったから社長を辞める」というようなことはできない。

「若いころに抱いた劣等感をプラスに変えて、使命感をもってチャレンジをしてきたか。それが学歴に表れたり、スポーツの成果に表れたりしている人間かどうか」を審査していると話す。

中小企業のオーナーシップを取るタイプは、一般的な上場企業・大手企業で能力を発揮するタイプとは異なる。「サーチャー候補について、そこを見極められるのが私たちの強み」。

「自分が経営者してふさわしいかどうか悩んでおられる方がいらっしゃれば、ぜひ私どもにも面接をさせていただきながら、中小企業経営というものにマッチしてるかどうかお話をぜひさせていただきたい」。

質疑応答

Q:サーチャーをどのように見極めますか?

面談だけで判断はしません。(サーチャーと)協働をして、投資を進めます。

例えば、我々の1号案件の場合ですと、実際に買収対象となる会社に行って、実際事業を見て、インターンという形でその事業を実際に回していただきながら、この人が本当にこの事業を承継するにふさわしいかどうかっていうのを見極めていきます。

なので、投資の判断は、サーチャーを見極めてからになります。
案件を進めるうえで、一番大事にしてることはやはり、サーチャーです。AというサーチャーがBという会社を承継するときに、本当にスケールできるか、というところです。

Q:ファンドの出口、サーチャーにメリットはあるのでしょうか?

サーチャーには、上場企業で働くよりもたくさんのキャピタルゲインをとっていただくように設定しています。そうでないとインセンティブがありませんので。具体的に言いますと、ファンドで、最終的にEXITした時のリターンをサーチャーにお返しするというストラクチャーを組んで、インセンティブをとってもらうようにしています。

なので株価を上げれば上げるほど、サーチャーは買い取る株が上がってしまうという相反があります。ファンドはある程度アップサイドを放棄して、サーチャーにメリットをお渡しすることを事前にすり合わせています。

株価を上げれば上げるほど、ファンドもサーチャーもメリットがあるという戦略をとっています。

第二部では、2人のサーチャーが自らを売り込むピッチを実施。

新たなビジネスモデルや開発した技術、事業内容を売り込むスタートアップのピッチと異なり、個人の経歴やスキル、自己PRを中心とした内容となった。
 

略歴:National Search Fund株式会社代表取締役 Founder山根 孝 氏

1997年山口フィナンシャルグループ(山口銀行)入行。新規事業開発室長、投資共創部長、データキュービック(フィンテック子会社)代表取締役社長を経て 、執行役員グループCIO兼イノベーション投資戦略事業本部長。2022年に退職し、National Search Fund(株)を設立。