経済や金融業界のリアルな姿を垣間見たいのなら、映画やドラマがおすすめ! 特に本を読むのが苦手な人や異業種で働く人には、映像で見るのは分かりやすく、2時間程度なので手っ取り早い。実話をベースにした作品もあるので、世の中の経済事件を理解するのにも一役買ってくれる。多少専門用語も出てくるものもあるが、映画やドラマをきっかけに勉強してみるのもおすすめだ。エンターテインメントとしても楽しめる、おすすめの1本を紹介する。
フェイスブックの共同創業者で会長兼CEOのマーク・ザッカーバーグがハーバード大在学中に「フェイスブック」を作るまでを描いた一作。フェイスブックができるまでの過程や訴訟問題などは事実に基づいているものの、ザッカーバーグのキャラクターや細かい設定などはかなり脚色されている。
2003年、ハーバード大学2年生のマーク・ザッカーバーグ(ジェシー・アイゼンバーグ)は、親友のエドゥアルド・サべリン(アンドリュー・ガーフィールド)と新たなSNSを作ろうと計画。最初はハーバード学内の規模だったものが、ボストンエリアから、アメリカ東海岸、西海岸、そしてヨーロッパへと拡大していく。会社の成長やシリコンバレーのカリスマ的存在・ナップスター創設者のショーン・パーカー(ジャスティン・ティンバーレイク)との出会いによって、親友だったサべリンとの関係に変化が訪れる。若くして億万長者となるザッカーバーグだが、自身が作ったサービスとは裏腹に孤独感が増していく。
ザッカーバーグにハーバード大の学生専用のSNSを一緒につくろうと持ち掛けたウィンクルボス兄弟。ところが、そのアイデアに着想を得たザッカーバーグがものすごい勢いで先に「ザ・フェイスブック」を立ち上げてしまう。インターネットの世界では先手必勝。アイデアを盗まれたとして、兄弟はザッカーバーグを訴えることに。ちなみに、2018年2月にフォーブスが発表した「世界の仮想通貨長者ランキング」で、ウィンクルボス兄弟は4位に入ったとのこと。ザッカーバーグとの和解金6500万ドルの一部で2012年からビットコインに投資し始め、仮想通貨の世界では先手を打つことができたようだ。
フェイスブックを法人化した当初、株式の分配はザッカーバーグが65%、サベリンが30%、残り5%はもう一人の共同創立者であるダスティン・モスコヴィッツとなっていた。ところが、パーカーの登場をきっかけに、会社は再編され、新たな契約書を交わすこととなる。ザッカーバーグが51%、サベリンが34.4%、モスコヴィッツが6.81%、パーカー6.47%、残りはヘッジファンド運用者という内訳だ。弁護士も立てずにこの新しい契約書にサインをしてしまったサベリン。
その後、ベンチャーキャピタルからの出資を受けるため、フェイスブックは2400万株を新たに発行し、サベリンの株保有率は0.03%にまで希薄化してしまう。映画では具体的には触れられていないが、サベリン以外の株主には新株予約権付の優先株が与えられていたようだ。たとえ親友とはいえ、どんな契約書もきちんと目を通さないと痛い目に遭う。
文:M&A Online編集部