裏社会で生きる会計士が巨大企業の不正に裁きを下す『ザ・コンサルタント』

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会計士が主人公

『ザ・コンサルタント』は、裏社会で生きる会計士が巨大企業の不正に裁きを下すダークヒーローアクション。自閉症スペクトラム障害を持つ会計士・ウルフを、ベン・アフレックが“無表情に”熱演する。

情け容赦なく裁きを下すアクションシーンはもちろんのこと、複雑に絡み合う人間関係が徐々に紐解かれるヒューマンサスペンスとしても十分に楽しめる。

『ザ・コンサルタント』のあらすじ紹介

シカゴ近郊の片田舎で会計事務所を営むクリスチャン・ウルフ(ベン・アフレック)の真の顔は、裏社会でマネー・ロンダリングを請け負う会計士兼ヒットマン(殺し屋)。パートナーから「たまには合法的な仕事も」と勧められ請け負った仕事は、大企業であるリビング・ロボティクス社の財務調査だった。

ロボティクス社は、経理を担当するデイナ・カミングス(アナ・ケンドリック)が不正を発見したことから、ウルフへ調査を依頼する。

ロボティクス社のCFOであるエド・チルトン(アンディ・アンバーガー)と姉のリタ・ブラックバーン(ジーン・スマート)は不正の存在に懐疑的だったが、デイナが用意した15年分の膨大な資料から、ウルフはわずか一晩で不正の証拠をつかむ。

デイナが発見した不正の正体は、社長のラマーが姉のリタ、旧友のエドと共に行った株価操作のための循環取引だった。ラマーらはデイナの不正発見の報告を放置するわけにはいかず、表向きの対処としてウルフを雇ったのだった。ところがウルフの卓越した調査能力により不正の内容が明らかにされ、計画が破綻していく。

ウルフが資料を調査していたある晩、エドの家に複数の男たちが来訪していた。彼らのリーダーであるブラクストン(ジョン・バーンサル)は、エドの妻を人質に自殺を要求。翌朝、ロボティクス社の社長であるラマー・ブラックバーン(ジョン・リスゴー)は、ウルフにエドの死と調査の中止を告げる。

仕事を中断されたウルフが射撃のトレーニングに勤しんでいる最中、2人の男がウルフを襲撃する。彼らはウルフを”ただの会計士”と見ていたが、事もなげに彼らを撃退してしまう。

実はウルフは幼少期に元軍人である父からたたき込まれた戦闘技術と天才的頭脳を武器に、裏社会を生き延びるヒットマンでもあった。ウルフは襲撃者からデイナの命も狙われていることを聞き出すと、急ぎデイナを救出に向かう・・・。

もう一つの裏テーマ

本作には、主人公のウルフが高機能自閉症であるという裏テーマがある。これが単なるアクション映画で終わらず、作品に深みをもたせている。

ウルフが幼少期に訪れた発達障害支援施設(ハーバー神経学研究所)の所長が自閉症の息子を持つ両親へ「息子さんは劣っていない。人と違うだけです」と語り、子どもの可能性を信じるよう諭すシーンがある。

さて、不正をラルフに問い詰められたラマーは、「新技術への投資資金獲得のためだった」と語る。ロボティクス社は義手や義足を求める人々のために循環取引を行ったと自らの正義を語る。ラルフもまたハーバー神経学研究所を資金援助するため、巨額な報酬と引き換えに裏の仕事を請け負っているのだった。

ポーカーをする犬

映画のラスト、デイナのもとに『ポーカーをする犬(Dogs Playing Poker)』が送られてくる。アメリカの画家・クーリッジが描いた実在する油絵で、アメリカの文化をご存じの方であれば反応するシーンだろう(ご存じない方はググってください)。

ウルフがデイナに向けて「何も分っちゃいない」と発したメッセージにも思えるのだが、いかがだろうか。

原題は『The Accountant』なのだが、邦題はなぜか「会計士」ではなく「コンサルタント」になっている。専門用語や会計業界のシーンも出てくるので、英語の勉強にもなりつつ、ストーリー展開は大衆向けなので、業界外の人でも楽しめる作品となっている。

文:M&A Online編集部

<作品データ>
ザ・コンサルタント(原題:The Accountant)
2016年・アメリカ・128分

ザ・コンサルタント