7月から続くハリウッドのストライキは、全米脚本家組合(WGA)らによる事態解決に向けた動きもありましたが、全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)はスト続行を宣言しており、先行きは不透明です。
また、国内に目を向けると10月2日に再会見が予定されているジャニーズ事務所の影響が気にかかるところです。すぐに対応できるCMとは違い、ドラマや映画は仕込みに時間もお金もかけている分、調整が難航しそうです。
そんな中ですが、猛暑が過ぎ去り、10月は芸術の秋を堪能するのにぴったりな時期と言えるでしょう。10月から11月にかけて、例年は夏休みと年末年始のはざまでラインナップが薄くなることもあるのですが、今年は充実しています。
今月も、おすすめ新作映画ベスト5作品を公開日順にご紹介します。
ビートたけしの同題恋愛小説を二宮和也と波瑠のW主演で映画化。現代の東京を舞台にしつつもスマホなどのモバイルやSNSが一切介在しないラブストーリーに仕上がっています。桐谷健太、浜野謙太、リリー・フランキーといった芸達者が揃ったことで絵空事に見えない一本に仕上がりました。
監督のタカハタ秀太はテレビ番組のディレクター出身で、かつては「天才たけしの元気が出るテレビ!!」を担当していました。
映画『アナログ』公式サイト (analog-movie.com)
アカデミー賞俳優デンゼル・ワシントンとアントワン・フークア監督による大ヒットアクションシリーズ。”19秒”で世の悪を完全抹消する仕事請負人(通称イコライザー)を描く「イコライザー」シリーズが5年ぶりの3作目、シリーズ最終章としてスクリーンに帰ってきました。
元CIA凄腕工作員のロバート・マッコール(デンゼル・ワシントン)は隠遁生活を送っていましたが、再び闘いの場に赴くことになります。キーパーソンとなるキャラクターを演じるのはダコタ・ファニング。デンゼル・ワシントンとは『マイ・ボディーガード』以来18年ぶりの共演です。
映画『イコライザー THE FINAL』 オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ (equalizer.jp)
宮藤官九郎の脚本で、岡田将生、松坂桃李、柳楽優弥のトリプル主演が大きな話題を呼んだ2016年放映のテレビドラマ「ゆとりですがなにか」が待望の映画化となりました。
当時は若手だった「ゆとり第一世代」も気が付けば中堅になり、社会の荒波に揉まれるようになります。ドラマのテイストは変わらず、さらに多くのテーマ(Z世代、働き方改革、コンプライアンス、多様性)を内包した作品となりました。
アメリカで大ヒット中の『バービー』にも通じるコメディ×社会派の一本です。
映画『ゆとりですがなにか インターナショナル』 (yutori-movie.jp)
ハリウッド版『GODZILA ゴジラ』や『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』のギャレス・エドワーズ監督の最新作。監督だけでなく原案、製作、脚本まで担当したオリジナルSF大作です。
『TENET テネット』のジョン・デヴィッド・ワシントンが主演したほか『GODZILA ゴジラ』で組んだ渡辺謙もAIシミュラント(模造人間)役で出演します。ジェンマ・チェン、オスカー俳優のアリソン・ジャネイといった名優が揃い、2075年を舞台にAIと人類の壮大な物語を描きます。
映画『ザ・クリエイター/創造者』|20世紀スタジオ公式 (20thcenturystudios.jp)
巨匠マーティン・スコセッシ監督の最新作は、1920年代のアメリカ先住民連続殺人事件を描いた実話をベースにした西部劇であり社会派サスペンス。80歳を迎えたスコセッシ監督ですが、3時間26分という超大作です。
Apple TV+での配信に先立ち、10月20日より世界同時劇場公開となります。1990年代までスコセッシ監督作品の主演を務めていたロバート・デ・ニーロと2000年代以降主演を担ってきたレオナルド・ディカプリオが共演しています。二人の名演技もさることながら、内容的にも賞レースに絡んでくるかもしれないですね。
キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンを視聴 - Apple TV (日本)
10月はこれらの作品以外にも、人気ホラーシリーズ最新作『死霊館のシスター呪いの秘密』、岩井俊二監督最新作『キリエのウタ』、宮沢りえ主演の社会派衝撃作『月』、中島健人&堤真一のタイムリミットサスペンス『お前の罪を自白しろ』が公開されます。
また配信作品では、Amazon Prime Videoで人気キャラクターの実写化企画『次元大介』、Netflixでデビッド・イェーツ監督作品『ペイン・ハスラーズ』が配信予定です。
文:村松健太郎(映画文筆屋)