最強コラボ!「シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース」が始動

alt
©2021「シン・ウルトラマン」製作委員会 ©円谷プロ

2年ぶりの大台突破へ『シン・ウルトラマン』大ヒット上映中

公開から4週目を迎えた映画『シン・ウルトラマン』は、先日紹介した『トップガン マーヴェリック』と共に2強状態をキープしています。5月13日の公開から6月5日までの24日間で興行収入31.8億円を突破、観客動員は200万人を突破しました。

大台突破を記念して新たに入場者プレゼントの実施を決定、さらなる観客動員増を目指しています。

今回のプレゼントは劇中で山本耕史が演じて大きなインパクトを残した外星人のメフィラスの名刺が作れるポストカード3種。劇中で実際に主人公たち“禍特対”の面々に差し出されたもので、映画を見たファンからこの名刺が欲しいという要望もあがっていたとか。

メフィラスの口癖「私の好きな言葉です」はネット上で“メフィラス構文”と呼ばれ、一種のネットミームとなっています。

映画『シン・ウルトラマン』メフィラス名場面映像【大ヒット上映中】東宝MOVIEチャンネル - YouTube

『シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース』がついに始動

また、『シン・ウルトラマン』の公開に合わせて「シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース」の構想が発表されました。

『シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース』公式サイト (sjhu.jp)

これは2016年に公開された『シン・ゴジラ』、2021年公開の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』、そして『シン・ウルトラマン』、さらには2023年3月公開予定の『シン・仮面ライダー』という“シン”を冠した4作品がコラボレーションするというもの。

と言っても作品ごとにキャラクターが横断して登場するようなことはないようで、宣伝やグッズ、アトラクションで共演するようです。(『シン・ウルトラマン』の竹野内豊のような遊びは今後もあり得るかもしれませんが…)。

作品を個別に観れば、全作品で庵野秀明のアニメーションスタジオである株式会社カラー(khara, inc.)が関わっているものの、『シン・ゴジラ』は東宝、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は東宝・東映・カラー、『シン・ウルトラマン』は東宝・円谷プロダクション・カラー、『シン・仮面ライダー』は東映が配給と、それぞれ製作会社が違うので、マーベル映画のような直接的な共演は大人の事情でちょっと難しいのかもしれません。

『シン・ウルトラマン』の興行収入予想

シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバースの状況をまとめると、興行収入が確定している『シン・ゴジラ』が82.5億円、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が102.8億円となっています。

作品 興行収入 製作会社 公開年
『シン・ゴジラ』 82.5億円 東宝 2016年
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』 102.8億円 東宝・東映・カラー 2021年
『シン・ウルトラマン』 50億円?(筆者予想) 東宝・円谷プロ・カラー 2022年
『シン・仮面ライダー』 (公開予定) 東映 2023年予定

『シン・ウルトラマン』に関して忖度無しで見ると、おそらく興行収入は50億円ぐらいかと思われます。ほかの前2作に比べるとやや低めに思われるかもしれませんが、実写邦画で興行収入50億円を超えるというのは、なかなかないことです。その証左として、昨年と2022年は一本もなく、一昨年は『今日から俺は!!劇場版』の一本だけ、2019年も『キングダム』の一本だけです。

“邦高洋低”の状態が続く日本映画界ですが、興行収入が高い邦画は主にアニメーション作品で、実写が年間トップを飾ることは稀です。そういう中で『シン・ウルトラマン』が興行収入50億円に達するとなると、2年ぶりの大台突破ということで、これは快挙と言ってよいでしょう。

続編企画の行方

『シン・ウルトラマン』の興行的成功が現実味を帯びてきたところで気になるのが二つの“シン”の続編企画。

一つはすでに製作中の『シン・仮面ライダー』。仮面ライダー生誕50周年企画の目玉作品として庵野秀明監督による完全新作映画の製作がアナウンスされ、すでに池松壮亮、浜辺美波、柄本佑というメインキャストも発表済み、公開も2023年の3月に決定しました。

映画市場での立ち位置を見ると、ウルトラマンブランドより仮面ライダーブランドの方がヒットしているという実績があるので、『シン・ウルトラマン』の興行収入から見ると同程度か、それ以上の数字を『シン仮面ライダー』は見込んでもいいのではないかと思います。

もう一つの続編企画が、今回劇場で先行発売された書籍「シン・ウルトラマンデザインワークス」に掲載された庵野秀明監督による企画書にある『シン・ウルトラマン』の続編案。

この企画書には『続・シン・ウルトラマン』『シン・ウルトラセブン』という3部作構想が明記されています。

別コメントでは『シン・ウルトラマン』の続編を作るとなると、特撮部分の比重が増え、予算がかなり膨れるのではないかとも語られています。今回の『シン・ウルトラマン』の出来次第という感じでしたが、『シン・ウルトラマン』の出足が好調で、ある程度の数字が見込めるとわかってきたので、内々にGOサインも出ているのかなとも思います。

庵野秀明監督自身がちょっとオーバーワーク気味なので、すぐに動けるかわかりませんし、予算の規模も見通せない部分があるのは確かですが、思い切って二部作をまとめて撮り上げて、二部作連続公開という形で予算・スケジュールを圧縮するという方法もあるかもしれません。

どちらにせよ“シン”の続編企画はまだまだ続いていくことは確かなことです。また、新たな“シン・〇〇”の可能性も「庵野秀明展」の展示作品として楽しみに待ちたいと思います。

文:村松健太郎(映画文筆家)