菓子大手の森永製菓<2201>がプロテニスプレーヤーの錦織圭選手を起用した、たんぱく質補給食品「inバープロテイン」のプロモーションを2019年8月27日から始めた。
第一弾として、週刊少年チャンピオン掲載の「バキ道」「ブラック・ジャック」「弱虫ペダル」「ハリガネサービスACE」「あっぱれ!浦安鉄筋家族」の5作家による錦織選手のオリジナルイラストや動画を同日から特設サイト(https://www.morinaga.co.jp/in/bar/inbarweeklychamp/)で公開した。
錦織選手は全米オープンテニスに出場中で、一回戦を突破し、8月29日に世界ランキング108位の米国のブラッドリー・クラン選手と対戦する予定。
森永製菓ではプロテニスプレーヤーの大坂なおみ選手とも、2019年8月1日から1年間の広告契約を結んでおり、9月16日から錦織選手と共演したテレビ広告(栄養補給食品inゼリー)を流す。
全米オープンテニスでは、大坂選手が第1シードで出場し、2連覇を目指しており、初戦は8月28日午前1時から世界ランキング93位のロシアのアンナ・ブリンコバ選手と対戦する。錦織選手を起用したプロモーションや大坂選手との共演への注目度は一気に高まりそうだ。
錦織、大坂両選手を広告に起用する森永製菓とは一体どのような企業なのか。
森永製菓は1910年に設立した森永商店がスタートで、社歴は今年で120年になる。エンジェルマークやおもちゃのカンヅメなどで馴染み深い企業だ。
東証の適時開示情報を基に経営権の異動を伴うM&A案件(グループ内再編を除く)について、M&A Online編集部が集計したところ、森永製菓は2008年以降の12年間で5件のM&Aを実施。このうち買収案件は2008年のクッキー製造販売会社アントステラ(東京都豊島区)の1件のみで、残り4件はすべて子会社を売却していた。
2010年のサンライズ(東京都港区、冷菓、冷凍食品卸)、2011年の森永フードサービス(東京都港区、給食、レストラン事業)、2017年の富津田倉ゴルフ(千葉県富津市、ゴルフ場運営)、2018年のインドネシアPT. Morinaga Kino Indonesia(タンゲラン市、粉ジュース、菓子製造)がそれで、売却価格はいずれも非公表だった。
年 | 森永製菓の沿革と主なM&A |
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1910 | 森永商店を設立 |
1912 | 社名を森永製菓に変更 |
1920 | 日本煉乳を合併 |
1923 | 自社品販売会社森永製品販売を設立 |
1942 | 森永乳業、森永食品工業、東海製菓、森永関西牛乳を合併 |
1943 | 社名を森永食糧工業に変更 |
1949 | 森永乳業を設立 |
1949 | 東京・大阪・名古屋証券取引所に上場 |
1949 1991 | 社名を再度、森永製菓に変更 |
1953 | 醸造部門を分離し、森永醸造(1991年に福徳長酒類に社名変更)として発足 |
1965 | 米国ゼネラルミルズ社との合弁で森永ゼネラルミルズを設立(現・森永スナック食品) |
1973 | 森和商事を設立(現・森永商事) |
1980 | 森永デザートを設立 |
2001 | 福徳長酒類の株式を譲渡 |
2004 | エンゼルフードシステムズの株式を譲渡 |
2008 | アントステラを100%子会社に持つディューアソシエイツの全株を取得 |
2008 | 米国森永製菓を設立 |
2010 | 森永食品有限公司を設立 |
2010 | 食品卸売会社のサンライズを譲渡 |
2011 | 子会社の森永フードサービスを西洋フード・コンパスグループに譲渡 |
2013 | 森永キノインドネシアを設立(現・連結子会社) |
2013 | 森永アメリカフーズを設立 |
2017 | 富津田倉ゴルフの全株式を平和に譲渡 |
2018 | インドネシア子会社PT. Morinaga Kino Indonesiaを現地社に譲渡 |
連結対象子会社を売却すると、その分の売り上げが減少するが、同社の2016年3月期以降の業績を見ると売上高、営業利益ともに右肩上がりとなっており、2020年3月期も増収増益見通しだ。
同社の主力は食料品製造事業で、売上高の約96%を占める。この食料品事業の中に菓子食品部門、冷菓部門、健康部門があり、2019年3月期は菓子食品部門のチョコボールが前年度比7%増、ハイチュウが同3%増と堅調に推移。冷菓部門もジャンボグループが同7%増と堅調だった。
錦織選手がイメージキャラクターを務めている健康部門のinゼリーは2019年3月期に同3%の増収となっており、2020年3月期の第1四半期でも前年同期比5%増と好調さを維持している。
錦織選手と大坂選手が共演する9月以降はテレビで目にする機会が増えそうなinゼリーは、どこまで売り上げを伸ばすことができるか。錦織、大坂両選手の活躍が後押しとなることは間違いないだろう。
文:M&A Online編集部