●場合によっては節税対策にもなる

先生:「概算取得費」は、実際には取得した価格が分かっていても、譲渡所得税の節税効果を狙って使われることもあります。

新入社員:どういうことでしょう?

先生:土地や株式などを譲渡した時に得た利益に対してかかる譲渡所得税は、譲渡価額から取得価額を差し引いた金額を「譲渡所得」として課税対象とします。ですから、取得価額の金額が大きければ大きいほど課税対象額が低くなり税金も安くなります。

新入社員:実際には1億円-2円=9999万9998円が課税対象になるはずが、「概算取得費」を使うと、1億円-500万円=9500万円が課税対象になるということですね。

先生:その通りです。株式の場合も応用できます。資本金は1000万円で始めた会社の株式が、経営努力によって4億円で売却できたとしたらどうでしょう?

新入社員:この場合の「概算取得費」は、4億円×5%=2000万円ですね。となると、実際の取得価額1000万円より金額が大きいので、税金を払うときに「概算取得費」を使った方がお得ですね。

先生:このように、「概算取得費」を使うことで節税になることもあります。ぜひ覚えておいてください。

回答者:税理士 畑中 孝介/取材・文:小林麻理