経営者の役割はディール成立後により大きくなる

行動1:「目指すべき姿」と実現ストーリーの明確化

「案件ありき」ではなく、「目指すべき姿」とその実現の道筋を明確にすることが重要。1つの案件ですべて実現するのではなく、これを補完する案件も効果的に組み合わせてシナジーを拡大していくことが重要となる。

行動2:「成長戦略・ストーリー」の共有・浸透

経営トップが自ら「このM&Aで何を目指すのか」を語り、社内に浸透させているか。海外M&Aは経営トップや経営戦略の立案担当者だけでは実現できない。関連する多くの部門の英知の結集が不可欠。

【M&Aの準備~ディール実行】

行動3:入念な準備に「時間をかける」

海外M&Aという「有事」に対処するには、「平時」から入念かつ周到な準備が必要。持ち込み案件に安易に飛びつかない。自社のストーリーに合致する候補を複数リストアップ。随時メンテナンスし、買収の好機をうかがう。

【ディール実行】

行動4:買収ありきでない成長のための判断軸

「専門的・技術的なこと」として実行部隊が外部専門家に任せきりにすると、買収自体が目的化しがち。所期の目的を見失わず、撤退条件(ディールブレーカーなど)を明確化することが重要。

【ディール実行~PMI

行動5:統合に向け買収成立から直ちに行動に着手

「ディール(買収)の成立」を 「M&Aの成功」と混同していないか。経営トップの役割はむしろディール成立後に増大し、初動が重要。契約署名で安堵せず、その後の統合に向けて直ちに行動に着手することが重要。

PMI

行動6:買収先の「見える化」の徹底(「任せて任さず」)

買収先の経営実態や異変をしっかり把握できているか。制度・言語・文化が異なる海外企業の経営をすべて日本から関与するのは困難で、買収先の強みを生かすためにも現地に一定程度任せる必要があるが、過度な放任では十分な統合効果を実現できない。KPI(重要業績評価指標)の設定などで買収先経営者の役割を明確化すべき。

行動7:自社の強み・哲学を伝える努力

自社がこれまで培ってきたノウハウ、経営哲学を買収先に提供し、理解を得ることが統合プロセス完遂の重要な要素。互いに認め合う(リスペクト)できる関係をつくるにはトップ同士のコミュニケーションが重要。

【ポストPMI

行動8:海外M&Aによる自己変革とグローバル経営力強化

自社の経営・システム・人材はグローバルに通用するか。海外企業に暗黙の了解や阿吽の呼吸を求めても通用しない。

行動9:過去の経験の蓄積により「海外M&A巧者」

今日、海外M&Aを有効活用しているといわれる企業も最初からうまくいったわけではない。失敗を含めて経験や苦労は最良の教科書。自社なりに「型」を確立し、平時からの備えをもって次の海外M&Aにつなげていく。

文:M&A Online編集部