M&A仲介協会は5月28日、TKP東京駅大手町カンファレンスセンター(東京都千代田区)で、講演会・懇親会を開いた。冒頭、荒井邦彦代表理事(ストライク社長)が協会の役割と最近の動向について説明。来賓の木村拓也中小企業庁事業環境部財務課長から国の中小企業支援策と今後の方針が示された。
荒井代表理事は「協会の会員数が100社を超え、M&A仲介協会への期待は高まっている」と切り出した。国は事業承継に力を入れ、従業員1人当たりの売上高を伸ばすM&Aについては、売り手側・買い手側が円滑に相談できるよう支援を進めると同時に、承継支援の多様化を進める方針を示している。
これを受けて「後継者不在の会社の事業承継問題を解決する、成長していきたいという会社の応援をするM&A仲介会社は、経済活動に非常に大きな貢献をしている」と協会の果たす役割が大きくなっていると指摘した。
一方で「一部で不適切な買い手が存在する事例も報道されており、仲介会社にも責任があるのではないかとの指摘もある。業務品質の向上と信頼性確保のために、安全で安心なサービスを提供する体制づくりが必要だ。協会としても研修の充実や契約書雛形の共有、自主規制ルールの遵守、将来的な資格制度導入などの取り組みを進めていく」と、課題解決に取り組む姿勢を明らかにした。
来賓の木村財務課長は「協会に多くの事業者が参加しており、心強い」とあいさつ。中小企業の事業発展と事業承継にM&Aは重要な役割を果たすとして、仲介業者の質の高い支援に期待を示した。
一方で「不適切な事例への対処も必要であり、民間の自助努力と適切な規律が求められる」と指摘した。政府与党でも事業承継の重要性が認識されており、税制改正や支援策の強化が図られていると説明。「仲介業者の規律向上と成長支援の両立が重要」だと強調した。
講演会では弁護士で皿谷将バトンズ執行役員が中小M&Aガイドラインや事業承継ガイドライン、中小PMIガイドラインについて策定の経緯や概要、狙いについて解説。出席した協会加盟社の代表たちは熱心に聞き入っていた。講演会終了後の懇親会では、会員各社が情報交換と交流を深めた。
文:M&A Online
関連記事はこちら
・M&A仲介協会、業界自主規制ルール制定の背景を解説 設計思想や規程を読み解くポイントも
・M&A仲介協会が入会説明会を開催、約500人の参加者に加入呼びかけ