メガバンクによるキャッシュレス社会の実現に向けた動きが広がってきた。
三井住友フィナンシャルグループ<8316>の三井住友カードはメルペイ(東京都港区)と提携し、フリマアプリのメルカリで保有している売上金をコンビニエンスストアやレストラン、ドラッグストアなどで使えるスマートホン決済サービスを導入した。
これまではメルカリで保有している売上金は、メルカリ内での商品購入や自身の銀行口座への送金しかなかった。両社は今回の提携を通じてキャッシュレス化に向けた商品やサービスの提供を促進するという。
三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>の三菱UFJイノベーション・パートナーズは銀行口座やクレジットカード、電子マネー、証券口座などを自動で一括管理できる個人資産管理サービス「Moneytree」を手がけるマネーツリー(東京都港区)に出資した。
マネーツリーとは、三菱UFJフィナンシャル・グループの子会社である三菱UFJニコスが協業しており、今回の出資を機に、戦略的関係を強化し協業や事業シナジーを追求するという。
キャッシュス化については、LINE<3938>が食品ロスをなくすための「次世代店舗実証実験」に参画するなど、競争が新たな段階に入りつつある。
次世代店舗実証実験は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業で、実験店舗の対象商品に電子タグをつけ賞味期限をLINEで配信することで、賞味期限が迫った商品を安く販売し、商品ロスを減らそうという試み。
スマートホン決済サービスのLINE Payやその他決済サービスが利用可能だが、LINE Payを利用すると特典が多いという。
日本政府は2019年10月に予定している消費税率の8%から10%への引き上げに際し、キャッシュレス決済を行うと商品やサービス利用額の最大5%を還元する予定。
2019年10月から2020年の東京オリンピック開催前までの9カ月間が対象で、日本政府はこのために2798億円を用意する。
キャッシュレス化の進展に伴い、メガバンクを含めた民間企業によるシェア争いは今後、NEDOのような政府機関を巻き込んだ方向にも広がっていきそうだ。
文:M&A Online編集部