池袋・新宿・浜松町のランドマーク、相次いで「退場」へ

alt
8月29日に44年間の幕を下ろす「池袋マルイ」(東京・西池袋)

池袋、新宿、浜松町…。都内主要駅のランドマーク的な存在が相次いで姿を消そうとしている。

44年の歴史に幕下ろす池袋マルイ

8月29日の閉店に向けてカウントダウンに入っているのが池袋駅西口近くにある「池袋マルイ」(丸井池袋店、地下1階~地上7階)だ。1977年にオープンして44年の歴史に幕を下ろす。

立教大学への通り道にあり、かつては池袋を代表するファッションビルの一つに数えられ、多くの若者の支持を集めてきた。しかし、近年は域内での競争激化やネット販売の台頭などで業績が落ち込み、往時の賑わいとはほど遠い状況にあった。

丸井グループは関東を中心に約30店を展開するが、その中でも池袋マルイは歴史的に“店格”の高い店舗と位置付けられてきた。池袋に初出店したのは1952年で、JR山手線のターミナル駅では1948(昭和23)年の新宿に続く。最盛期は池袋駅の東口と西口に計3店舗を構えたが、今では現在の1店舗のみ。今回の閉店は事実上、池袋撤退を意味する。

小田急新宿店、来年9月に本館を終了

新宿西口の象徴といえば、小田急百貨店。鉄道駅と一体化したターミナルデパートして、京王百貨店と新宿西口を二分するが、今年7月半ば、再開発プロジェクトに伴い2022年9月末をもって新宿店本館の営業を終了すると発表した。

新宿店本館は地上14階、地下2階。宿敵の京王百貨店(8階建て)に3年遅れて1967年に開業した。本館の営業終了後、新宿店は隣接する新宿西口ハルクに売場を移し、食品、化粧品などを中心に営業を継続する。

本館跡地には48階建て、高さ約260メートルの超高層ビルを計画。2029年に完成の運びで、東京都庁第一庁舎の243メートルを抜き、新宿エリアで最も高い建物となる見通し。新ビルはオフィス機能のほか、商業機能を備えるが、その中に百貨店が含まれるかどうかは決まっていないという。

世界貿易センタービル、建て替えへ

超高層ビルの黎明期を飾る名建築も退場することになった。高さ152メートル・40階建て。羽田空港へのモノレールの玄関口・浜松町駅の目の前にそびえる「世界貿易センタービル」が6月末に閉館した。1970年の完成当時は「霞が関ビル」(千代田区霞が関)の147メートル・36階建てを抜き、高さ日本一に輝いた。

世界貿易センタービルは名前の通り、貿易振興の拠点として、経済界をあげて計画された。日本が西ドイツ(現ドイツ)と入れ替わり、GDP(国民総生産)で世界2位に躍進したのは1968年。この年に日本初の超高層ビルとして開業したのが他ならぬ「霞が関ビル」だ。

再開発で世界貿易センタービルの跡地には235メートル・46階建ての新本館ビルが2027年に開業する予定。往年のライバル、「霞が関ビル」は災害時などのBCP(事業継続計画)対応を含めて大規模改修を計画的に実施してきており、その姿を未来に伝えるスタンスを鮮明にしている。

文:M&A Online編集部