【突撃MAOちゃん!】「企業が成長し続ける、経営の本質〜M&Aによる事業承継と成長戦略〜」セミナーレポート

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みなさん、こんにちは。MAOです。
2月21日(木)に東京・日本橋のベルサール東京日本橋で、東洋経済新報社・ストライク共催のセミナー、「トップリーダーズカンファレンス2019 企業が成長し続ける、経営の本質〜M&Aによる事業承継と成長戦略〜」が開催されました。会場は多くの人であふれ、M&Aに対する注目度の高さがうかがえます。そんな熱気に満ちたセミナー当日の模様をお届けします!

第1部 特別講演「あなたは人生をどう歩むか〜日本を変えた企業家からの『メッセージ』〜」

レノバ<9519>代表取締役会長の千本倖生さんが登壇。千本さんは、DDI(現KDDI)、イー・アクセス株式会社(現ワイモバイル)の創業者としても知られています。今回は、そのおよそ35年にわたる起業家人生から学んだことや稲盛和夫さんとの運命的な出会いについて語ってくれました。

海外経験が豊富な千本さんらしく、まずは米国で注目されるキーワードのひとつ、「連続起業家(Serial Entrepreneur /シリアルアントレプレナー)」という言葉を紹介。「米国ではシリアルアントレプレナーの方が大企業の社長よりも高い評価を得られる」と語る千本さん。彼らはゼロから会社を作り上げ、ある程度大きく成長したらM&AやIPOを行ってイグジットして、また別の会社を立ち上げることを繰り返しているといいます。

さらに千本さんがハーバード大で何度か講義をした際に発見したのが、成績の良い学生たちは皆、自身で会社を起こすアントレプレナーだったということ。いま米国では、シリコンバレーだけでなく、ニューヨークやテキサス・オースティン、シアトル、ノースカロライナなど、各地で起業が盛んで、いたるところで起業文化が広まっているのだそうです。

「世界に一歩出てみれば、社会に新しいことやイノベーションをもたらすことをやろうとしている人が最も尊敬され、評価される存在だ」と千本さんは言います。

千本さんの起業家人生は、まさにシリアルアントレプレナーです。日本電信電話公社(現NTT)に勤める中、米国留学でフロンティアスピリットの偉大さを痛感。世界の中で日本の通信が圧倒的に遅れていることに危機感を抱き、自身がスピーカーを務めた講演会で知り合った稲盛和夫さんと共に DDIを立ち上げます。その後、携帯電話事業、ブロードバンド事業、そしてスマホ事業と次々と事業を展開していきました。

傍目には順調な起業家人生を歩んできたように見えますが、たくさんの失敗や問題もあったとのこと。そんな時、支えになったのが稲盛さんの言葉だったそうです。「『筋のいい事業ならば、石にかじりついてでもやり抜け。あきらめた時、それが失敗だ』。この言葉は私の人生を貫く指針になっている」と千本さんは振り返ります。 

最後に、新しい事業を行う上で必要なことを教えてくれました。アントレプレナーを目指す人はぜひ参考にしてみてください。

<新しい事業を行う上で必要なこと>
・メガトレンドを少しでも早く見つける
・優れたマネジメントチームをつくる
・徹底的に準備する
・リスクをとって実行する(ただし、やみくもに何でもやるのはNG)
・私利私欲をできる限り排除する(社会に役立つのか?顧客のためになるのか?)
・執拗にやりきること、ガッツ 

第2部 課題解決講演「成長を加速するM&Aの活用法と事例紹介」

続いて、ストライクの荒井邦彦代表取締役社長にバトンタッチ。

20年ほど前は「身売り」や「乗っ取り」といったイメージが先行して誤解が多かったM&Aも、現在は設備投資や研究開発などと並んだ成長戦略の一手となっているといいます。

その証拠に日本企業によるM&Aの件数も増えており、2018年11月の時点で年間3000件を超えて史上最高を記録。バブル期の1989年で年間600件ほどだったというので、当時と比べるとなんと5倍です!

こうしたM&A増加の背景には、次の2つが大きな要因として挙げられるといいます。

1. 資金調達環境のよさ
現状、無借金の上場企業の割合はなんと6割以上。企業の成長投資の機会が減る中、金融緩和も追い風となって、成長戦略としてM&Aに潤沢な資金が流れているのだそうです。

2. 後継者不在
以前は中小企業は家族や親族が継ぐのが当たり前だったものの、時代は変わりました。経営者自身の高齢化もあり、事業承継としてM&Aを選択する中小企業が増加しています。

そして、今回のセミナーのテーマでもある「M&Aを活用した成長戦略」のお話へ。MAOとしてはちょっと意外でしたが、成長実現するために、新たに会社を買うのではなく、自社を売却する経営者もいるのだとか。

自社を売った結果、足りない経営資源が補えれば会社の成長につながるという考えからです。「M&Aは欠けているものを補うためにするもの」と荒井さん。それは買い手、売り手のどちらの立場でも言えることだといいます。

M&Aを活用して「成長を加速」「新規事業参入」に成功した買い手企業の事例を紹介したうえで、買い手として大事にすべきポイントを教えてくれました。

<買い手として大事にすべき5つのこと>
・希望条件を狭くしすぎない
・小さく始めて大きく育てる
・買収してからが本番と心得る
・1つのM&Aで満足しないこと
・買収しないリスクも考える

印象的だったのが「1つのM&Aで満足しないこと」。さまざまな業種・業態で市場が縮小する中、ただ経営するだけで売上を上げるのが難しいのは明らかです。そんな中、2社、3社と常にM&Aのチャンスを探っていくことで、はじめて「成長戦略」と呼べるものになるといいます。

第3部 M&A体験談「M&A活用による成長戦略・課題解決」

休憩をはさんで、エスオーユーホールディングス代表取締役の松丸喜樹さんが登壇し、M&A体験談を語ってくれました。

もともとは葬祭業からスタートしたエスオーユーですが、M&Aを活用して自社の課題解決や成長戦略につなげています。

同社は葬祭業を中核にしているものの、葬祭市場の先行きが不透明になる中、リスクヘッジとしてもう一つの軸足を確保すべく、介護事業に参入したのだそう。葬儀が一度きりの点のサービスだとすれば、介護は継続的な線のサービス。その2つを合わせて提供することで、高齢化が進む日本社会に貢献したいとの思いもあるといいます。

また、葬祭事業や介護事業は、人材確保が難しい労働集約型事業。M&Aで人材サービス事業に進出することで多様な働き方の受け皿を作り、人材確保をするという狙いがあったといいます。 

10社以上のM&A経験を通じて、会社を譲受する側として交渉では以下のことに気をつけたそうです。

<譲受側から見た交渉のポイント>
・相手の会社をよく知る
・自社のストロングポイントを伝える(具体的に整理してわかりやすく!)   
・相手先がM&Aを検討している理由(相手が抱える課題)を知る
・M&Aは会社の売り買いではなく成長戦略・課題解決

最後にM&A後に取り組むべきことを解説。真っ先に頭に浮かぶのは経営や組織などの統合プロセスを意味するPMIですが、「中小企業の場合、何よりも大事なのは働く人の気持ちだ」という松丸さんの言葉が心に残りました。 

「M&Aは一緒になってからがスタート。一緒に成長していくという観点でやらないと上手くいきません。『適者生存』というように、M&Aという環境の変化に企業も社員も適応して、進化していくことが大事」とコメントし、講演を締めくくりました。

第4部 要点解説「成功するM&Aのポイント」

セミナーのラストは、ストライク取締役の金田和也さんによる要点解説です。

近年のM&A件数は、2017年に3,000件を超え、2018年には3,800件と過去最高を記録。今年も昨年に引き続き、M&Aによる企業提携は増加するとの予想です。

企業規模の大小に関係なく、今やM&Aは経営戦略の重要な手段であり、今後は業績が良くても後継者不在という理由でM&Aをする企業が増えていくだろうといいます。

M&Aを検討する企業がますます増える中、押さえておくべき「成功するM&Aのポイント」はこちら。

<譲渡(売却)を検討する企業のポイント>
・財務諸表の透明性の確保(特に損益計算書)
・売り時を逃さない
・マイナスに思われることほど早く共有

<譲受(買収)を検討する企業のポイント>
・M&Aの交渉の場、その後の陣頭指揮にトップが出てくるとスムーズ


以上をもって約3時間にわたるセミナーは終了。「経営の本質」や「M&Aによる事業承継・成長戦略」について、トップリーダー自らの言葉を聞く機会はめったにないことです。とても貴重な時間となりました。

本セミナーも残すところ札幌と福岡での開催となりますが、気になった方は会場に足を運んで、ぜひトップリーダーたちの金言に耳を傾けてください。

トップリーダーズカンファレンス2019  「企業が成長し続ける、経営の本質〜M&Aによる事業承継と成長戦略〜」
2019年3月7日(木) 札幌・札幌グランドホテル
2019年3月13日(水) 福岡・ホテル日航福岡

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