経営者の相続対策、平等な相続のために~負担付贈与とは

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「経営を引き継がせる子供には、ある程度の負担も残したい…」。このように考える経営者もいるのではないだろうか?特に近年は家長制が完全に崩壊し相続にまつわるもめごとは確実に増えている。

例えば、経営を引き継がせる子に、自社株や不動産とともに借入金などを一緒に贈与したいニーズは一定数あるだろう。そこで今回は「負担付贈与」を説明する。

負担付贈与とは

負担付贈与とは、受贈者(贈与を受ける人)に一定の債務を負担させることを条件にした財産の贈与のこと。個人から負担付贈与を受けた場合は、贈与財産の価額から負担額を控除した価額に課税されることになる。

この場合の課税価格は、贈与された財産が土地や借地権などである場合および家屋や構築物などである場合には、その贈与の時における通常の取引価額に相当する金額から負担額を控除した価額によることになっている。

また、贈与された財産が上記の財産以外のものである場合は、その財産の相続税評価額から負担額を控除した価額となる。

なお、負担付贈与があった場合、その負担額が第三者の利益に帰すときは、第三者は負担額に相当する金額を贈与により取得したことになる。

相続税法基本通達には負担付贈与について、次のように定められている。

1. 負担付贈与等(相続税法基本通達9 -11)
負担付贈与又は負担付遺贈があった場合において当該負担額が第三者の利益に帰すときは、当該第三者が、当該負担額に相当する金額を、贈与又は遺贈によって取得したこととなるのであるから留意する。

この場合、当該負担が停止条件付のものであるときは、当該条件が成就した時に当該負担額相当額を贈与又は遺贈によって取得したことになるのであるから留意する。

2. 負担付遺贈があった場合の課税価格の計算(相続税法基本通達11の2-7)
負担付遺贈により取得した財産の価額は、負担がないものとした場合における当該財産の価額から当該負担額(当該遺贈のあった時において確実と認められる金額に限る)を控除した価額によるものとする。

3. 負担付贈与の課税価格(相続税法基本通達21の2-4)
負担付贈与に係る贈与財産の価額は、負担がないものとした場合における当該贈与財産の価額から当該負担額を控除した価額によるものとする。

贈与税の課税対象金額

繰り返しになるが、負担付贈与とは、受贈者に第三者に対して一定の給付をすべき債務を負担させることを条件にした財産の贈与のことをいう。個人から負担付贈与を受けた場合の課税は、贈与財産の価額から負担額を控除した価額に課税される。

例えば、父親から時価2000万円の土地の贈与を受ける代わりに父親の有する借入金1000万円を負担することとした場合の贈与税の課税対象金額は次の通りになる。

土地の時価2000 万円-借入金1000万円=贈与税の課税対象金額1000万円

このように「正の財産」と「負の財産」を一緒に贈与することで、平等な相続に一定の貢献をするだろう。

まとめ

オーナークラスでもアパートローンなどの借金をしている方は多いだろう。平等な相続を実現させる一つの方法として「負担付贈与」が参考になるのではないだろうか。

文:M&A Online編集部