聞いてみた。M&Aの専門家はどんな電卓を使っているの。大川泰蔵・日本リンクス代表取締役は?

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愛用の電卓を持つ日本リンクス(東京都文京区)の大川泰蔵代表取締役

M&Aの専門家はとかく数字と格闘する場面が多い。デューデリジェンス(買収対象企業の価値やリスクなどの調査)をはじめ、いろんな場面で電卓が活躍する。どのような電卓を使っているのか。愛用の品の入手のいきさつや、思い出などを大川泰蔵・日本リンクス代表取締役に聞いてみた。

愛用の品はCASIOのMW-12A

M&Aアドバイザリー会社のGCAに入社した際に購入した電卓(CASIOのMW-12A)を今でも使っています。もう14、5年になります。工学部出身で、ロボットやAI(人工知能)などをやっていたことから、当時はNTTでSE(システムエンジニア)として働いていました。

神戸大学のMBA(経営学修士)の授業でGCAの方が講師だった縁で、同社に転職することなり、その時に買ったものです。M&Aアドバイザーは多くの資料を鞄に入れており、重くなりますので、できるだけ軽いものを選びました。

愛用の電卓を聞いてみた
大川泰蔵・日本リンクス代表取締役愛用の電卓

GCAではJT(日本たばこ産業)が冷凍食品大手の加ト吉を買収した案件や、日本ビクターとケンウッドの経営統合などにかかわりました。

その後、企業再生支援機構に移り、金属加工企業の再生にかかわりました。2011年から2年半ほど、当該企業に常駐し、ベトナムに工場を建設するなどの仕事に携わりました。

これまでの案件の中で最も大変で、一番の思い出になっています。最終的に、この企業は事業譲渡し、会社は解散しました。これら案件で、今使っている電卓を使用しました。

企業再生支援機構では、このほかに風力や電池関連のスタートアップにもかかわりました。経営に行き詰ったこれら企業の事業を立て直し、エグジットを実現しています。

現在はM&A、再生、コンサルを手がける日本リンクスを経営しており、中小企業の事業承継の支援を中心に活動しています。日本リンクスは2020年3月にスタートし、現在までに6件の案件を手がけています。

小さな案件が中心で、地方に行く機会がよくあります。M&Aがうまくいくかどうかは、オーナー経営者との人間関係が最も大きな要因となります。だいぶ経験を重ねたので、今は人間関係の構築もできるようになってきましたが、若い人は大変だろうなと思います。

今の会社を急速に大きくしようとは考えていません。これまで通り一件一件、案件に取り組んでいくつもりです。

文:M&A Online編集部