組織再編税制とは

組織再編を促進させるために新たに創設・整備されたのが「組織再編税制」です。

組織再編と法人税

ひとつの会社を2つに分割する場合や、2つあった会社をひとつにまとめると一体何が起こるでしょうか?

答えは「資産の移動」です。

組織再編に伴い会社が所有している資産が移動すると、移動前の資産は「簿価」で計上されていますが、移動後の資産は「時価」で承継されます。この差額(譲渡損益)に対して課税されるのが、法人税です。

では、株式交換などにより完全子会社を取得した場合はどうなるでしょうか?

完全子会社となった会社の資産は、完全親会社には移動しません。しかし合併の場合と同じく、完全親会社は完全子会社を取得したとみなされるため、完全子会社の資産も「時価」で評価しなければなりません。含み益があれば当然、課税対象になります。

条件さえ合えば納税額が0円に?

組織再編に対する課税の考え方は、上記で述べた通りですが、組織を作り替えるだけで課税対象となってしまうのでは、組織再編が全く進みません。

そこで、ある一定条件(「税制適格要件」といいます)を満たした場合には、譲渡損益の繰り延べや被合併会社の繰越欠損金、すなわち過去の税務上の累積赤字の承継が認められることになりました。

この、組織再編税制で優遇措置を受けるための「税制適格要件」とは、具体的に何を指すのでしょうか?

論点が複雑になるためポイントだけをお話しすると、組織再編後に会社の支配関係が維持されているものは「適格」となります。そして、その関係が強ければ強いほど適格であるために満たさなくてはならない要件は少なくなります。

逆に組織再編後に会社の支配関係が薄くなればなるほど、適格を満たすための要件は増え、最終的には要件を満たすことが難しく「不適格」となってしまいます。

組織再編税制は、一歩間違うと租税回避のスキームとして利用される恐れがあります。

実態は単なる会社の売買(M&A)であっても、組織再編のように見せかけて組織再編税制を利用できるようになってしまうと税の不均衡が起きてしまい、本来払うべき税金が0円で済んでしまう可能性があります。そうした問題を防ぐために、税制適格要件はかなり細かく規定されているのです。

ITの加速により、世界はより狭くなり、ビジネスのスピードも加速しています。刻々と変わる外部環境に対応していくためには、組織そのものを状況に合わせて再編していくことが求められています。

組織再編税制はそのようなニーズを満たすために作られたものであり、要件さえ満たせば税務上の優遇措置を受けることが出来るのです。

文:M&A Online編集部