幸楽苑が大変身「ラーメン」と「からあげ」をコラボ

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からあげらーめん(同社ニュースリリースより)

ラーメンチェーン「幸楽苑」を展開する幸楽苑ホールディングス<7554>が変身を始めた。

テイクアウト専門店として出店を加速している「幸楽苑のからあげ家」と、ラーメンの「幸楽苑」とを合体することで、ハイブリッド業態を作り上げようというもので、イートインとテイクアウトの両方の需要に対応する。

同社は2021年8月に2026年3月期を最終年度とする新中期経営計画を策定し、ラーメン販売という外食事業だけでなく、デリバリーや通販などの非外食事業を育てる方針を打ち出した。

今回のハイブリッド業態はその一環で、9月17日に福島県いわき市と神奈川県小田原市にそれぞれ1店舗を開店し、新たに開発した「からあげらーめん」なども投入した。

コロナ禍を乗り越える施策として打ち出した変身作成は、果たして成功を収めることはできるだろうか。

「からあげらーめん」を開発

からあげピタパン(同社ニュースリリースより)

新業態の名称は「幸楽苑 since1954+幸楽苑のからあげ家」で、ラーメン、ギョーザ、から揚げの三つの商品群をそろえ、店内でラーメンだけを食べたい人や、セットで楽しみたい人、テイクアウトしたい人などの幅広い需要に応える。

「からあげらーめん」は、これまでの「中華そば」をベースに、から揚げをトッピングしており、このほかにもご飯の上に、から揚げを載せた「ミニからあげ丼」と、平らなパンに、から揚げを挟んだ「からあげピタパン」もそろえた。

4年で営業利益を16倍に

新中期経営計画は2022年3月期からの5年計画で、最終年の2026年3月期には売上高500億円、営業利益50億円を目指す。売上高の内訳は幸楽苑などの外食事業が400億円、通販事業、デリバリー事業などの非外食事業が100億円。

店舗数は500店(2021年3月期時点で437店)を目標としており、このうち幸楽苑が400店、今回のような新業態店が100店を占める計画だ。同社では「イートイン主体の外食企業から総合食品企業へと変革する」としている。

足元の業績は新型コロナウイルスの影響で厳しい状況が続いている。8月に発表した2022年3月期第1四半期(2021年4~6月)では、前年同期よりは改善したものの、営業損益は4億9200万円の赤字、経常損益は1億2800万円の赤字、当期損益は5400万円の赤字と、いずれも赤字から脱却できなかった。

新中期経営計画の初年度となる2022年3月期通期では売上高288億円、営業利益3億円、経常利益6億円、当期利益2億5000万円を予想する。最終年度に目標数字を達成するためには、残りの4年間で売上高は1.7倍ほどに、営業利益は16倍ほどに高めなければならない計算になる。

幸楽苑は変身を遂げることはできるだろうか。

文:M&A Online編集部