変化する「カラオケ」の業界地図とビジネスモデル「コシダカ」の挑戦とは

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カラオケ店「まねきねこ」…都内で

カラオケ店「カラオケまねきねこ」を全国展開しているコシダカホールディングス(HD)<2157>が、カラオケ事業で攻勢をかける。

同社は大庄<9979>から「カラオケ歌うんだ村」などのカラオケ事業を譲り受けることを決めた。カラオケ事業のM&Aはマレーシアでカラオケ店を取得した2018年以来およそ3年ぶりとなる。

腰髙博社長は、カラオケ業界は厳しい状況にあり閉店が相次いでいるものの「ライバル店の閉店は居抜き(設備や備品などが付いたままの物件)出店やドミナント(特定地域への集中出店)戦略の推進につながる」とし新規出店に意欲を見せていた。

コシダカHDの2021年8月期第2四半期は20億円を超える営業赤字に陥る見込み(通期の業績予想は未定)で、他のカラオケ店同様厳しい経営状況にあるが、コロナ禍をビジネスチャンスと捉え積極策に打って出た格好だ。

さらにカラオケルームをプライベートエンターテインメントルームに転化させる計画を進めており「今期中には、これまでにない楽しみ方をいくつか紹介する」(腰高博社長)という。

どうやらコロナとともにカラオケの業界地図やビジネスモデルが変わっていきそうだ。

43店舗中32店舗は一都三県

コシダカHDは2021年4月30日に、大庄から「カラオケ歌うんだ村」「カラオケファンタジー」「カラオケ&ダイニングFlat」「カジュアルスタイリッシュカラオケ 花-hana-」の43店舗を譲り受ける。43店舗の直近業績は売上高23億1000万円で、営業損益は2億4000万円の赤字だった。

43店舗中32店舗は関東の一都三県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)に位置しているため、首都圏を中心としたドミナント戦略が進むほか、居抜き出店となるため短期間の投資回収が可能という。

2021年8月期上期は営業赤字に転落

コシダカHDは1967年の創業後、ラーメン店のチェーン展開などを経て、1990年にカラオケボックスの1号店(オイコット)を開設し、1993年にカラオケまねきねこ1号店を開設した。その後、カラオケまねきねこの店舗数を増やし、2021年2月末時点で536店を運営している。

この間、2014年にシンガポールのカラオケ店運営会社を子会社化したほか、2015年にはカラオケチェーンのムーン(神奈川県相模原市)を子会社化、2018年にはマレーシアでカラオケ店を取得した。

2021年8月期については新型コロナウイルス感染症拡大の影響で売り上げが大きく落ち込んでおり、2021年8月期第2四半期は、営業損益20億5400万円、経常損益19億400万円、当期損益11億100万円のいずれも赤字の見通し。当初公表していた通期の見通しは一旦取り下げ、未定に変更した。

強化しているドミナント戦略、居抜き出店や今後打ち出すカラオケルームの新たな活用法などで、業績をどこまで引き上げることができるのか。コロナ禍の中、コシダカHDの挑戦がもたらす影響は小さくはなさそうだ。

コシダカHDの沿革
1967 新盛軒を創業
1970 ラーメン店のチェーン展開を開始
1990 カラオケボックス1号店(オイコット)を開設
1993 カラオケまねきねこ 1号店を開設
2000 コシダカに社名を変更
2007 東京証券取引所ジャスダック市場に上場
2010 カラオケまねきねこ300号店を開設
2010 コシダカホールディングスに社名を変更
2016 東京証券取引所市場第一部に上場
2017 カラオケまねきねこ500号店を開設


発表年 コシダカHDが2010年以降に適時開示したM&A
2010 ボウリング場運営会社のスポルト(東京都渋谷区)を子会社化
2011 フィットネスクラブ・カーブス運営のシュクラン(東京都中央区)を子会社化
2012 ボウリング場運営のスポルトとボウリング事業を譲渡
2014 シンガポールのカラオケ店運営会社を子会社化
2015 カラオケチェーンのムーン(神奈川県相模原市)を子会社化
2018 女性向けフィットネスの米カーブスを買収
2018 マレーシアでカラオケ店を取得
2021 大庄から「カラオケ歌うんだ村」などカラオケ事業を取得

文:M&A Online編集部