スポーツクラブ大量閉店…「コナミ・ショック」の波紋

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コナミスポーツの都内の店舗(江東区)

スポーツクラブ利用者の間で「コナミ・ショック」が広がっている。業界首位級のコナミスポーツが2月末の9店舗に続き、5月末にも16店舗を閉店するためだ。同社の閉店数は今年だけで全店舗の約15%にあたる。コロナ禍による業績悪化はスポーツクラブ各社に共通するだけに、こうした大量閉店の動きが競合他社に波及する恐れがある。

群馬、新潟、滋賀、愛媛、大分が「空白」県に

コナミホールディングス傘下のコナミスポーツが16店舗の追加閉店を明らかにしたのは3月22日。折しも1都3県の緊急事態宣言が解除された日だ。当日朝9時、「一部施設の営業終了について」のお知らせをサイト上で公表した。

当該の店舗では会員の落胆が広がり、スタッフに詰め寄る場面も見られた。また、エアロビクス、ヨガといったスタジオレッスンの開始前にはその都度、スタッフが事情説明にあたるなどの対応に追われた。

今回閉店対象となったある店舗は在籍会員がほぼ半減し、運営継続が困難になったという。住宅地に立地するこの店舗ではコロナ感染を警戒し、会員の多くを占める高齢者を中心に休会・退会が相当数に上ったとされる。

コナミスポーツは現在、全国27都道府県に167店舗(運営受託を除く)を展開する。このうち5月末に閉店する16店舗は11都道府県にまたがる。群馬、新潟、滋賀、愛媛、大分の5県ではコナミスポーツの店舗がゼロとなり、完全撤退する格好だ。

これに先立ち、コナミスポーツは2月末に6都道府県の9店舗を閉店しており、今年だけで閉店は25店舗に上る。昨年9月末時点(179店舗)に比べると、閉店数は28店舗とさらに膨らむ。

◎コナミスポーツが閉店を発表した店舗

都道府県 5月末に閉店する店舗 2月末に閉店した店舗
北海道 大谷池 白石、ユーカリが丘
群馬県 高崎
東京都 西葛西、東松原 立川
神奈川県 青葉台
新潟 新潟
愛知県 一宮 勝川
滋賀県 草津
大阪府 今里、和泉府中、香里園、西九条 古川橋、江坂、梅田
奈良県 奈良
兵庫県 姫路中央
愛媛県 松山
福岡県 福岡マリンタウン、筑紫野
大分県 大分明野

ライバルのセントラルスポーツは静観の構え

同業大手の動向はどうか。コナミスポーツほどの大量閉店は見られないものの、散発的な動きは出ている。ティップネス(日本テレビホールディングス傘下)は都内と大阪府で計4店舗を3月末で、ルネサンスは都内と兵庫県の各1店舗を5月末で閉店する。

コナミスポーツと業界トップを争うセントラルスポーツ(約180店舗)では今のところ、とくに目立った動きはない。

もっともスポーツクラブ大手の台所事情は似たり寄ったりだ。2020年4~12月期の売上高は前年を4割程度下回る。新型コロナウイルス感染拡大を受け、入会者の減少と休会・退会者の増加というダブルパンチが会費収入を直撃。さらに、年明け後の2度目の緊急事態宣言が業績悪化に追い打ちをかけた。

店舗リストラ、強まる「第4波」の懸念

2021年3月期の通期見通しを公表しているのはセントラルスポーツ、ルネサンスの専業上場2社。セントラルは売上高31%減の365億円、最終赤字44億円(前期は21億円の黒字)、ルネサンスは売上高29%減の320億円、最終赤字45億円(同13億円の黒字)とし、目下のところ、いずれも2月初旬時点の予想を据え置いている。

新型コロナを巡ってはここへきて「第4波」到来が取りざたされるなど、業績好転への材料は見当たらず、店舗リストラの大波がいつ押し寄せてもおかしくない情勢にある。スポーツクラブの利用者にとっては通い慣れた施設を失いかねないだけに、戦々恐々の日々が続きそうだ。

文:M&A Online編集部