中古品販売の「コメ兵」3年後の1000億円は企業買収がカギに

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コメ兵の買取センター(東京・有楽町)

宝石や貴金属、時計、バッグ、衣料などの中古品販売などを手がけるコメ兵ホールディングス<2780>が2022年8月17日に、中古宝飾品買い取り、販売のセルビー(東京都台東区)を子会社化した。

中古品販売業界の競争が激化する中、重要商材の一つであるジュエリー(宝石や貴金属を加工した装飾品)の買い取りと販売を強化するのが狙いだ。

同社は2017年12月から2019年12月までの2年間に、5社の企業買収を実施し事業規模を拡大してきたが、この3年ほどは動きがなかった。

中期経営計画では、2025年3月期に売上高1000億円の大台乗せを目指しており、今後3年間で300億円ほどの売上高の上積みが必要になる。再びM&Aが活発化する可能性は低くはなさそうだ。

ジュエリーの買い取りや販売を強化

セルビーは中古宝飾品の買い取りや販売のほかに、システム開発やサイト構築などのデジタル事業も手がけている。売上高は2019年12月期の12億4300万円から2020年12月期は11億1100万円に減少。2021年12月期も10億6100万円と減収が続いている。

損益の方も同様の傾向で、2019年12月期に800万円だった営業利益は2020年12月期には3200万円の赤字に転落し、2021年12月期も2900万円の赤字を計上した。この結果、2020年12月期に純資産が700万円のマイナスに転じており、2021年12月期はマイナス幅がさらに拡大し4100万円のマイナスになっている。

消費者の価値観の変化に伴い、リユースやリサイクルのニーズは高まっているものの、その分、新規参入企業も増えていることから、競争は激しく、収益が上がりにくい状況にある。

コメ兵は、現時点でのセルビーの業績は振るわないものの傘下に収めることで、販路の拡大や経費の削減などを通じて業績を立て直すとともに、ジュエリーの買い取りや販売を強化し、リユース事業の拡大を推し進める計画だ。

3年で300億円を上積み

コメ兵は2025年3月期に、売上高1000億円、営業利益55億円、当期利益34億5000万円を目標とする中期経営計画を策定している。

2022年3月期の実績は、売上高が711億4800万円、営業利益は37億1400万円、当期利益は22億5900万円だった。このため3年間で売上高はおよそ300億円、営業利益、当期利益はいずれも10億円以上の上積みが必要となる。

同社ではブランド、リユース業界でのトップシェアを確保するために、総流通量を拡大する方針を掲げており、他社との提携の強化や、買取専門店の新規出店を積極化する計画だ。

1000億円の大台乗せは、M&Aがカギを握ることになるかもしれない。

文:M&A Online編集部