回復力に差が付いたカフェの「コメダ」と「サンマルク」コストアップの荒波に打ち勝ったのどっち

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東京都中央区のコメダ珈琲店

コメダ珈琲店などを展開するコメダホールディングス<3543>と、サンマルクカフェをなどを運営するサンマルクホールディングス<3395>の上場大手カフェチェーンの間で、コロナ禍からの回復力に差が現れてきた。

2021年3月期、2022年3月期と2期連続で営業赤字に陥ったサンマルクは、2023年3月期に20億円の営業黒字を予想していたが、2022年11月に営業損益をゼロに下方修正した。少しでも下振れすれば、営業赤字が3期連続に伸びる可能性がある。

これに対しコメダは順調に業績を伸ばしており、2023年4月12日に発表した2024年2月期は2ケタ前後の増収営業増益を予想しており、実現すれば2022年2月期から3期連続の増収営業増益となる。両社の違いはどこにあるのだろうか。

原材料高などに対応できず

サンマルクの2023年3月期の売上高は、当初から560億円を掲げており、2022年11月に行った業績修正でも、この数字は据え置いた。予想通りに着地すれば、前年から2期連続の増収となる。

ただ、原材料費や人件費、電力料などのコストが「企業で対応できる範囲を超えた」として当初20億円としていた2023年3月期の営業損益をゼロに引き下げた。

2021年3月期は40億円、2022年3月期は35億円の営業赤字のため赤字幅は縮小するものの、3期連続で水面下に沈んだままとなる。

コラボや新規出店がコストアップを吸収

一方、コメダは2021年2月期にコロナ禍の影響で減収減益に転じたが、翌2022年2月期は15.5%の増収、32.6%の営業増益、2023年2月期は13.6%の増収、9.8%の営業増益となった。

2022年2月期はコメ牛やピスタチオ、大豆ミートなど話題性のある食材を使用した季節限定メニューが好評だったのに加え、新たに49店舗を出店したことが業績を押し上げた。

2023年2月期はサンマルク同様、原材料費やエネルギ価格の上昇などのマイナス要因はあったものの、有楽製菓の「ブラックサンダー」とコラボした「シロノワール ブラックサンダー」や石屋製菓監修の「シロノワール 白い恋人」などの季節限定商品が好調だったほか、新たに40店舗を出店したことでコストアップを吸収し2期連続の増収増益を達成した。

さらに2024年2月期も12.3%の増収、8.4%の営業増益を見込む。これは3期連続の2ケタ増収という強気の予想だが、勝算はありそうだ。

というのも同社では、2023年2月期の売上高と営業利益が、コロナ禍前の2020年2月期の水準を上回わったことと、コロナ禍に対する制限が緩和され、経済社会活動の正常化や景気の持ち直しの動きが見られることを理由に、2026年2月期を最終年とする中期経営計画「VALUES 2025」の数値目標を2023年4月12日に上方修正し、1株当たり利益の年平均成長率を当初の10%以上から13%以上に引き上げた。

これは2026年2月期までは勾配の高い右肩上がりの業績が続くとの見通しを表したものだ。これまでのようなコラボや新規出店がこの成長を支えることになりそうだが、M&Aによって一気に目標を達成するというシナリオの可能性もありそうだ。

文:M&A Online