コクヨ<7984>によるぺんてる(東京都中央区)の子会社化を巡る騒動が、1週間後の9日に決着する見通しとなった。
コクヨがぺんてる株の買い付け価格を450円引き上げ1株4200円とし、さらに買い付け期限をそれまでの12月15日から12月9日に早めたためだ。
ぺんてるについてはコクヨと同業のプラス(東京都港区)が12月10日を期限に1株3500円での買い付けを行っており、これへの対抗措置として買い付け価格を引き上げ、プラスの買い付け期限前日に勝負をつけようとしたもので、コクヨの並々ならぬ決意がうかがわれる。
そこまで、コクヨを駆り立てるぺんてるの魅力とは何なのか。
コクヨは11月26日に発表した「ぺんてる株主様からのお問合せに対する当社の対応について」の中で、「ぺんてるの高い技術力とブランド力に裏打ちされた強い商品力は、グローバル市場で高い評価を獲得しており、このようなグローバル市場における筆記具のぺんてるブランドに強い魅力を感じる」と、明確に海外市場での強みがぺんてるの魅力であると言い切っている。
また、11月22日に発表した「ぺんてる株式会社の従業員の皆様へ」では、従業員や株主からの代表的な質問として「ぺんてるとどのようなことに取り組みたいか?」を上げ、これに対する答えとして、まず最初に「海外での持続的成長による、日本文具の世界展開」を上げた。
さらに細かく①中国でのコクヨの顧客の共有によるシナジーの創出、②インドを起点として、中東やアフリカなどの新たな市場への進出、③北米での収益性低下の課題解決、④世界視点での生産拠点戦略の構築と投資プランの設定など、と具体的な目標を掲げた。
回答の2番目以降には海外事業のほかにも①書くものと書かれるものを融合させた新たな価値の創造に取り組む、②新しい技術に果敢に挑戦するぺんてるの開発の風土を、両社の取り組みでさらに強くする、③バックオフィス業務や物流などを共通化する、④従業員が付加価値の高い業務に集中できる環境作りに取り組む、など具体性を欠くものが少なくない。
これら資料からはコクヨが、ぺんてるの海外事業との連携に前のめりになっている姿が浮かび上がってくる。
コクヨは11月29日に買い付け価格を4200円に引き上げると発表した資料に「ぺんてると当社との緊密な関係性を築き、ぺんてるブランドの維持・強化をはじめとした、ぺんてるのさらなる発展を実現していく」と記し、株主に所有株式を譲渡するよう呼びかけた。
ぺんてるの株主は、コクヨが海外事業拡大のためにぺんてるの子会社化を進めていると考えるのか、それともぺんてるのさらなる発展にはコクヨの傘下に入ることが重要と考えるのか。
その答えは1週間後にでる。
文:M&A Online編集部