ホームセンター・コーナンなどを展開するコーナン商事<7516>の業績が好調だ。
2021年2月期第1四半期は新型コロナウイルス感染症の対策のためのマスクやアルコール消毒液などが好調だったほか、外出自粛要請や在宅勤務の拡大などにより、オフィス家具、OA機器、DIY用品や園芸用品、家具、家庭用殺虫剤など幅広い商品の需要が高まり、売り上げ、利益ともに第1四半期としては過去最高を更新した。
ただ2021年2月期通期の業績予想については、4月に発表した数字を据え置いており、今後の状況を見たうえで修正を検討するという。第1四半期は外出自粛や在宅勤務の拡大が業績のプラス要因となっており、新型コロナウイルスの感染が広まっている現状を踏まえると、通期業績予想の上方修正の可能性は極めて高いといえそうだ。
2021年2月期第1四半期の売上高は前年度比29.5%増の1137億9100万円。新型コロナウイルス関連商品が好調だったほか、2019年6月に子会社化した建デポの数字も加わり、30%近い大きな伸びとなった。
利益の方も営業利益が同68.4%増の108億3000万円、経常利益が同68.5%増の103億700万円、当期利益が同70.0%増の70億5400万円といずれも70%ほどの高い伸び率を記録した。
建デポの第1四半期の売上高は94億3100万円で、前年同期と比べた全事業の増収額259億2000万円の36%ほどを占めた。建デポの粗利益率は30.7%で、全事業の平均粗利益率(38.1%)は下回ったものの利益面でも貢献しており、M&Aによるプラス効果がはっきりと表れた。
新型コロナウイルスの影響で業績が悪化する企業は多く、帝国データバンクの調査では2020年6月30日時点で、新型コロナウイルス感染症拡大を理由に業績を下方修正した上場企業は843社に上り、引き下げた売上高の総額は5兆6575億5400万円に達する。
一方、コーナン商事のように業績が好調な企業は多くはないものの、食品や日用品を取り扱う企業の中には新型コロナウイルスの影響がプラスに働いているケースが見られる。
家具やインテリアなどを手がけるニトリホールディングス<9843>は、外出自粛要請に伴い収納整理用品やキッチン・ダイニング用品、ホームオフィス家具などの売り上げが伸びた。食品スーパーのライフコーポレーション<8194>も外出自粛やテレワーク推進などにより内食需要が拡大したことから、ドラッグストアのキリン堂ホールディングス<3194>も医薬品や衛生用品だけでなく、日用品から食品まで幅広い必需品を取りそろえていることから、いずれも売り上げが伸びた。
【コーナン商事の業績推移】単位:億円、2021年2月期は見込み
2017年2月期 | 2018年2月期 | 2019年2月期 | 2020年2月期 | 2021年2月期 | |
売上高 | 3047.89 | 3160.81 | 3334.96 | 3746.44 | 4034 |
営業利益 | 160.81 | 173.72 | 198.91 | 200.6 | 205 |
経常利益 | 145.62 | 161.7 | 187.72 | 189.19 | 192 |
当期利益 | 60.72 | 100.31 | 108.54 | 118.3 | 120 |
文:M&A Online編集部