自社の技術や特許は買収時にどう評価されるのか

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特許や職人の技術、古くからの顧客など無形の財産は、買収時にどのように評価されるのでしょうか?

Q(質問)

買収時、形にならない特許や職人の技術、古くからの顧客など無形の財産を自社が持っていれば、評価してもらいたいものです。このように、現金や商品、不動産といった「有形資産」と違い、目に見えない資産のことを「無形資産」と呼びます。無形資産は譲渡価額にどのように反映されるのでしょうか。

A(回答)

「無形資産でもきちんと評価されるので、心配は要りません。その際は、『収益性』と『排他性』の2つの観点から評価します」そして正しく評価されるためには、「自社の無形資産に価値があるか、公正な第三者への相談は必須」になります。(専門家)

解説

「収益性」とは、その無形資産がくらい収益を生み出すか、ということ。つまり、特許や職人の技術、古くからの顧客などが、将来的にキャッシュを生むと評価されれば、資産価値として認められます。

「排他性」とは、他のものを排除できるかどうか、ということ。たとえば、特許はその効力によって、他社がその特許内容を無断で使用することを排除しています。職人の技術も他社が真似できない「オンリーワン」の技術であれば、他社の参入を排除できます。また、「オンリーワン」という観点から見れば、圧倒的な評判を持つブランドも排他性が十分に認められるということになります。

つまり、技術や特許などが譲渡(買収)価額に反映されるか否かは、買い手が(その技術や特許などを)どれだけ欲しいかによります。

売り手が技術や特許を獲得するために「どれだけコストと時間をかけたか」という過去の労力を評価して欲しいと考えるのに対し、買い手は「今後どれだけ収益に貢献してくれるのか」という視点で評価するのです。

M&A交渉の際、他社が高く評価している無形資産に自社では気づいていないということや、逆に、自社では高く評価しているのに、一般にはそれほど評価されていないと言ったことが往々にしてあります。

売り手・買い手のギャップを埋めるには、
「市場規模がどのくらいか」
「この技術や特許を使用すると買い手企業にどのようなメリットをもたらすか」
「その結果、収益にどのくらい寄与するのか」
の3点について、話し合うとよいでしょう。

具体的な価値の算定は専門家の手を借りるべきですが、まずは自社の魅力を「収益性」と「排他性」の観点からチェックしてみるとよいでしょう。

【質問】形にならない特許や職人の技術、古くからの顧客など、無形の財産は買収時に評価されるのか?を改題
文:M&A Online編集部