「勤次郎」「地主」…実は上場企業名です!

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新社名とともに名刺も変わる…

社名変更は企業にとってまさに一大イベント。ネーミング一つで社運を左右しかねないからだ。上場企業でも社名変更は今年から来年にかけて30社以上(1月以降の実施済みを含む)で予定されている。そんな中、こだわりの新社名が出番を待っている。

日通システム改め、「勤次郎」へ

その名も「勤次郎」。日通システムは3月27日付で社名をガラリと変える。「勤次郎」は同社が主力とするERP(統合基幹業務システム)の製品ブランドで、今回、企業ブランドに昇格することになったのだ。

「勤次郎」は就業・人事・給与マネジメントシステムと従業員の健康管理などヘルスケア関連システムを統合したERP製品。勤次郎のネーミングは1997年に採用以来20年以上使われ、同社の代名詞的な存在となっていた。その名の由来は「二宮金次郎(尊徳)」という。

日通といえば、総合物流大手の日本通運が思い浮かぶが、出自は同社とまったく関係がない。日通システムは1981年にシステム開発を目的に名古屋で設立。2019年に東京都に本社を移転した。20年10月に東証マザーズに株式上場したのを弾みに、一層の飛躍を期して大胆な社名変更に踏み切った。

「地主」を名乗る日本商業開発

名は体を表す―。これを地でいくのは不動産投資事業の日本商業開発。同社は2月半ば、「地主」に社名変更すると発表した。3月の定時株主総会に諮ったうえで、2022年1月10日をもって新社名に移行する。

同社はスーパーやホームセンター、家電量販店などの商業施設に取得した土地を貸す。事業用定期借地権を活用し、建物は所有せず、土地のみに投資する「地主」に徹するビジネスを展開している。

同社は大阪に本社を置くが、「地主」ビジネスの主軸は首都圏や関東に移りつつある。土地の利用も商業施設にとどまらず、近年は物流や倉庫、工場などに広がっており、社名変更を機に独自の事業モデルの普及促進を期待している。

アゴーラ、社名のどこが変わる?

もう1社あげれば、旅館・ホテルを運営するアゴーラ・ホスピタリティー・グループ。5月1日に社名変更するが、新社名は「アゴーラ ホスピタリティー グループ」。新旧社名の違いは中点(・)の有無で、ちょっと見には分からないくらいのマイナーチェンジなのだ。

社名変更の目的は「より統一されたブランディングを行い、当社の認知度を向上させる」としているが、説得力に欠ける面は否めない。現在は香港資本系列のアゴーラだが、前身は東海観光(2012年に現社名に変更)で、戦後株式市場が再開された1949年にいち早く上場した隠れた業界の名門でもある。

文:M&A Online編集部