「かっぱ寿司」店舗改装を一気に4-5倍に 3期ぶりの営業黒字を目指す

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東京・三鷹の店舗

かっぱ寿司を運営するカッパ・クリエイト<7421>が、コロナ禍にあった前期(2022年3月期)と、前々期(2021年3月期)に抑制していた店舗の改装を一気に4-5倍に増やす。

過去の実績では改装後に売上高が10-15%増えており、今期は改装効果と合わせて希少性や季節性のあるメニュー開発を進めることなどで、3期ぶりの営業黒字を目指す。

好調な回転ずし業界にあって、回復が遅れていた同社だが、いよいよコロナ越えが現実味を帯びてきたようだ。

2026年3月期まで高水準を継続

新型コロナウイルス感染症の影響で、店舗改装を前期は14店、前々期は9店に抑えていたが、今期(2023年3月期)は一気に50店に増やす。さらにその後2024年3月期から2026年3月期までの3年間は50-60店を維持し、継続的な収益力の向上に取り組む。

改装に合わせて、非接触や省力化に対応した最新設備を積極的に導入することで生産性も高める計画で、自動案内システムやスマホオーダーシステムをはじめ、セルフレジ、テイクアウトロッカーなどを導入していく。

さらに、何杯飲んでもビールを半額で提供するキャンペーンをはじめ、通常の約2倍の大きさのプリンや人気ラーメン店監修による「博多とんこつラーメン」などの販売、人気アニメとのコラボなどを通じて売り上げを伸ばしていく。

一方、コスト面では、ロシアのウクライナ侵攻や円安などに伴い原材料価格やエネルギー価格の高騰が見込まれるが、2014年にTOB株式公開買い付け)などによって親会社となった外食大手コロワイド<7616>の調達力を活用する。コロワイドは焼肉の「牛角」や、和定食などを提供する「大戸屋」などを子会社化しており、大きな購買力を持つため、仕入れ価格の引き下げ効果が見込める。

さらに、高い仕入価格と低い仕入価格の商品を組み合わせて販売することで、トータルの原価率(売上高に占める仕入れ価格の割合)を引き下げるメニューミックス施策などを通じて収益力を維持する計画だ。

波に乗ることはできるか

こうした取り組みで、2023年3月期は、売上高747億5200万円(前年度比11.2%増)、営業利益19億8700万円(前年度は21億1300万円の赤字)、経常利益19億9100万円(同18億8900万円の赤字)、当期利益13億9500万円(前年度比89.6%増)を見込む。営業利益、経常利益はともに2020年3月期以来3期ぶりの黒字となる。

ただ、2022年3月期も当初は、10億円を超える黒字を予想していたが、新型コロナウイルス感染症拡大が続き、時短営業の解消時期が遅れ、個人消費の低迷も続いたことから、営業損益、経常損益はいずれも黒字化することができなかった。

2023年3月期も新型コロナウイルスの感染状況によっては同様の事態に陥ることもあり得る。好調に推移する回転ずし業界で、かっぱ寿司はうまく波に乗ることはできるだろうか。

文:M&A Online編集部