肉や卵に似た植物性の食品「プラントベースフード」に本腰「カゴメ」「キユーピー」「薬王堂」など

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植物から作った「加熱用液卵風」を使用したオムレツ(キューピーのニュースリリースより)

植物性の原材料を用いて、肉やミルク、卵などに似せて作られた食品であるプラントベースフードを巡る動きが活発化してきた。

東北地方でドラッグストアを展開する薬王堂ホールディングス<7679>は2022年3月14日に、子会社を介して代替肉事業を手がけるベンチャー企業のネクストミーツ(東京都新宿区)と資本業務提携した。

カゴメ<2811>は3月9日に、プラントベースフードブランド「2foods」を展開するTWO(東京都渋谷区)と共同で開発した「2foodsプラントベースオムライス」の販売を始めたほか、キユーピー<2809>も3月17日に「HOBOTAMA(ほぼたま)の市販用新製品「加熱用液卵風」と「スクランブルエッグ風」の2種を販売する。

プラントベースフードは、家畜を飼育することで発生する温室効果ガスのメタンや一酸化二窒素の排出削減が可能になるほか、家畜の飼育に必要な水使用量を大幅に削減することができる。さらに人口の増加による食糧不足の解決にもつながると見られ、2030年には世界市場規模は約18兆円に達する見込み。

だが、日本ではまだ認知度は高くない。名の知れた上場企業がプラントベースフードの事業拡大に乗り出すことで、普及が加速しそうだ。

資本業務提携で事業拡大

薬王堂ホールディングスは2021年11月からネクストミーツと連携し、全店舗での「NEXT ツナ」の販売などに取り組んできた。

本格的に代替肉事業を展開するために、資本業務提携に踏み切ったもので、ネクストミーツの第三者割当増資を薬王堂が引き受けたうえで、薬王堂が所有する購買データや顧客データ、ヘルスケアデータなどを活用して代替肉の販売を拡大するほか、薬王堂の配送網を活用して物流を効率化する。

ネクストミーツの設立は2020年6月で、これまでに植物性焼肉をはじめ、牛丼、チキン、バーガー、ポーク、ツナ、ミルクなどを商品化している。

革新的な商品を開発

「2foodsプラントベースオムライス」は、カゴメとTWOの両社が共同開発したプラントベースエッグ「Ever Egg(エバーエッグ)」を使用して作り上げた。

「Ever Egg」は、ニンジンと白インゲン豆を用いて作っており、オムライスに必要なチキンライスやデミグラスソースも大豆ミート、タマネギ、豆乳バターなどから作った。

両社は今回のオムライスを皮切りに、今後も革新的なプラントベースフードの開発を進めてく計画という。

見た目、食感ともスクランブルエッグ

キユーピーは2021年6月に、業務用「HOBOTAMA」を発売しており、ホテルや飲食店をはじめ、保育園や幼稚園でも給食用に使用が広がっている。今回、市販品を求める声に応じて「加熱用液卵風」と「スクランブルエッグ風」の2種を投入することにした。

「加熱用液卵風」は、脱脂アーモンドパウダーをベースにした商品で、加熱によって固まるため、オムレツや卵焼き、カルボナーラ、チャーハンなど、さまざまな料理に使用できる。

「スクランブルエッグ風」は豆乳加工品をベースにした商品で、半熟状のスクランブルエッグのような見た目と食感が楽しめるという。

文:M&A Online編集部