「JR東日本」7月から1日200人の一時帰休を実施

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JR東京駅

東日本旅客鉄道(JR東日本)<9020>は7月1日から9月30日まで、本社に勤務する社員約1800人を対象に、1日当たり約200人の一時帰休を実施する。

新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい経営状況が継続しているためで、同社が一時帰休を行うのはこれが初めて。

JRグループではすでに西日本旅客鉄道(JR西日本)<9021>が2月から実施し、6月末で終了する予定だった一時帰休を7月末まで延長することを決めており、病院勤務者を除く全社員を対象に、1日当たり約1100人の一時帰休を継続する。

一方、東海旅客鉄道(JR東海)<9022>は、1月から社員約300人を対象に一時帰休を行っており、6月末で終了する予定。ただ、これまで数度延長しており、7月以降も、出張や旅行需要の見通し次第では延長があるかもしれない。

グローバルな組織コンサルティングを手がけるコーン・フェリー・ジャパン(東京都千代田区)が2020年4~5月に実施した、コロナ禍が日本企業の雇用・報酬に及ぼす影響調査(有効回答87社)では、4割超の企業が雇用への悪影響を懸念しているとの結果が得られていた。

調査から時間が経ち、新型コロナウイルス感染症は一段と拡大し、雇用に与える影響が深刻化しているため、一時帰休をはじめとする雇用への悪影響はまだまだ続きそうだ。

2022年3月期は黒字に転換

JR東日本の一時帰休は、管理職を含む本社に勤務する社員が対象で、運転士や支社勤務の社員は対象とならず、賃金は一時帰休対象者となっても変わらないという。

ワクチン接種がスピードアップしているものの、接種率はまだ20%ほどに留まっており、接種を希望する国民全員に行き渡るのは年末近くまでかかる見込み。さらにテレワークなどが推奨されており、鉄道利用客の回復は厳しい状況にある。

同社の2021年3月期は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う鉄道利用客の減少や、駅構内店舗、駅ビル、ホテルなどの利用者も減少したため、売上高は前年度比40.1%減の1兆7645億円に留まった。

減収に伴って損益は赤字に転落しており、営業損失は5203億円(前年度は3808億円の黒字)、経常損失は5797億円(同3395億円の黒字)、当期損失は5779億円(同1984億円の黒字)となった。

2022年3月期は、上期は厳しい状況が続くものの下期に回復し、通期では黒字転換を予想する。売上高は前年度比31.8%増の2兆3260億円、営業利益は740億円、経常利益は250億円、当期利益は360億円を見込む。

文:M&A Online編集部