来る2023年はスポーツのビッグイベントが目白押し。中でもラグビーW杯や野球のワールド・ベースボール・クラシック、サッカーの女子W杯などにワクワクしているスポーツファンも少なくない。日本代表の健闘を祈願するにふさわしい神社3社を紹介する。
野球の世界一を決めるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の第5回大会が2023年3月に開かれる。3大会ぶりの王座奪還を目指す日本代表「侍ジャパン」には大リーグから投打の二刀流で活躍中のエンジェルスの大谷翔平選手、パドレスでエースを務めるダルビッシュ有投手らが加わることになっており、野球ファンならずともワクワクしているに違いない。ベースボール・イヤーにびったりのスポットがある。
ここは埼玉県東松山市にある「箭弓稲荷神社」。東京・池袋から東武東上線で小一時間、東松山駅に到着する。西口を出て3分ほど歩くと、目的地が見えてくる。箭弓の読み方は「やきゅう」。大会前やシーズン前になると、アマからプロまで多くの野球関係者が必勝祈願のために参拝に訪れるという。
バットやホームベースの形をした絵馬、「球技守」と銘打ったバット、グローブのお守りなど、野球好きにはこたえられないアイテムが用意されている。ボール型のおみくじもある。
箭弓稲荷神社の創建は712(和銅5)年と伝えられる。社記によると、平安中期、下総の国(千葉県)の城主・平忠常が謀反を起こし、近隣諸国を手中に収め、武蔵の国(埼玉県と東京都・神奈川県の一部)に押し寄せた。
忠常追討を命じられた源頼信が当地の野久(やきゅう)稲荷神社に夜を徹して戦勝祈願したところ、明け行く空に白羽の矢のような形をした白雲が現れ、ただちに敵陣に攻め込み、三日三晩の戦いに勝利したという。凱旋した頼信は社殿を建て替え、「野久稲荷」から「箭弓稲荷」に改称を命じたとされる。
境内には大小100あまりの講社がある。衣食住はもとより、商売繁盛、開運の神として信仰を集めている。また、境内には関東随一の呼び声があるボタン園があり、4月中旬を迎えると、ボタンがフジやツツジと咲き競う。
WBCで必勝を期す日本は韓国、豪州、中国、チェコとの5カ国(グループB) による第1ラウンドを2位までで通過すれば、決勝トーナメントに進出。準々決勝までは東京ドーム、準決勝、決勝は米国に舞台が移る。
2022年のサッカーワールドカップ(W杯)ではドイツ、スペインの強豪チームを倒しながら悲願のベスト8入りを果たせなかった日本代表。しかし、悲しんでいる暇はない。2023年7月20日~8月20日には女子サッカーのW杯がオーストラリアとニュージランドで開かれるからだ。
日本代表「なでしこジャパン」の世界ランキングは11位。このところ低迷しているが、数少ないW杯優勝国であり、上位入賞そして2度目の制覇を祈りたい。そんなサッカーファンに、ぜひ足を運んで惜しいのが広島市の「住吉神社」だ。
JR広島駅から広電バス3系統紙屋町・市役所経由広島西飛行場行き「加古町」バス停下車すぐ、広島バス25系統吉島営業所行き 「住吉町」バス停下車徒歩3分。路面電車なら広島電鉄市内線1系統・宇品行きまたは広電本社前行きの「市役所前」電停下車徒歩5分。市街地のど真ん中に立地する都市型神社だ。
地元では「すみよしさん」で知られる神社だが、県内で唯一、日本サッカー協会(JFA)公認の「八咫烏(やたがらす)」がデザインされたお守りや絵馬を受けることができる「広島サッカーファンの聖地」。広島といえば今年のW杯で二つの大金星をあげた森保一日本代表監督が、選手やチーム監督として活躍したサンフレッチェ広島のお膝元だ。女子W杯の戦勝祈願をするなら、住吉神社をおいて他にない。
濃い青地にエンブレム入りの代表ユニホームをあしらったお守り(大=1000円、小=800円)と絵馬(500円)がある。2022年のW杯では日本で唯一の「ワールドカップ応援巫女」が登場。お守りや絵馬を受けると、応援グッズを身に着けた巫女(みこ)が、鈴を鳴らして必勝祈願してくれると話題になった。
住吉神社で旧暦6月14日・15日に開かれる夏祭は「広島三大祭」の一つで、夏の風物詩として広島市民に親しまれてきた。住吉神社は兎(うさぎ)を神の使いとしていることでも知られる。うさぎ年のW杯には、ピッタリの神社と言えそうだ。
2023年9月8日から10月28日までフランスで、ラグビーワールドカップ2023が開催される。同大会は男子のナショナルチームの世界大会で、4年ごとに開催されており、フランス大会が10回目となる。日本チームは世界ランキング10位で、この大会での活躍が期待されている。
そうした中、ラグビー神社として注目を集めそうなのが、大阪府東大阪市にある春日神社(通称:吉田春日神社)だ。1929年に完成した日本初のラグビー専用スタジアムで、全国高校ラグビーの会場として知られる花園ラグビー場(正式名称:東大阪市花園ラグビー場)に近いことから、選手やファンが必勝祈願に訪れるようになった。
もともとは、旧河内郡吉田村の鎮守社で、奈良市の春日大社から四柱神を勧請(神の分身、分霊を他の地に移して祭ること)したと伝えられている。ちなみに春日神社は全国に1000社ほどあり、いずれも春日大社を総本社としている。
吉田春日神社の本殿には、木製の大きなラグビーボールがあり、本殿横にあるゴールポストとラグビーボールをイメージしたモニュメントの下をくぐり抜け、このラグビーボールにタッチして参拝すると願い事がかなうと言われている。
近鉄奈良線の河内花園駅から徒歩8分ほどの距離で、ここから花園ラグビー場までは徒歩10数分。
実は日本にはラグビー神社と呼ばれる神社がいくつかあり、京都市にある下鴨神社(正式名称:賀茂御祖神社)もその一つ。同神社の歴史は古く紀元前にまでさかのぼるという。110年ほど前にこの地で関西初のラグビーが行われたことから、ラグビー神社と言われるようになった。
文:M&A Online編集部