「事業承継ガイドライン」 5年ぶり改訂へ

alt

中小企業庁は2021年度中に、中小企業の円滑な事業承継を推進する「事業承継ガイドライン」を改訂する。9月1日、有識者でつくる事業承継ガイドライン改訂検討会を開催し、5年ぶりの改訂に向けた論点やスケジュールなどを確認した。新型コロナウイルスの影響も踏まえ、中小企業の経営環境に合った事業承継の推進を目指す。

コロナ禍の経営環境変化などに対応

事業承継ガイドラインは、事業承継についての認識の向上と早い段階からの計画な準備を促そうと2006年度に策定。2016年度には、中小企業の技術・ノウハウもしっかりと受け継ぎ、世代交代を通じた活性化の促進を目指して改訂された。

その後、中小M&Aガイドラインや中小M&A推進計画も策定され、第三者へのM&Aは増加傾向をたどってきた。一方、2020年の中小企業の後継者不在率は前年比1.9ポイント増の57.5%(東京商工リサーチ調べ)と高止まりが続いている。コロナ禍の中、同年の休廃業・解散件数は4万9698件(同)と過去最多に上った。

事業承継税制の活用ペースが鈍化していることから、厳しい経営環境にさらされて承継時期を後ろ倒しする中小企業も増えているとみられる。こうした状況を受け、前回の改訂以降の状況変化などを反映させた改訂版を策定することとした。

事業承継ガイドライン改訂検討会では、
1.事象承継に関する基礎データの更新
2.各種支援策(予算・税制・法令など)の創設・改正状況の反映
3.実務慣行の変化、外部環境動向などによる影響の反映 を主な論点とする。

中小PMIガイドラインも年度内に策定

また、中小M&AにおけるPMI(買収後の経営統合作業)への段階的な支援の充実に向け、検討会の下に中小PMIガイドライン策定小委員会(仮称)を設置する。委員にはPMI経験を有する中小企業者を含めることを想定している。

次回の検討会は12月下旬に開かれる予定で、事業承継ガイドラインの改訂草案を共有、討議。中小PMIガイドラインのアウトラインなども確認する。いずれのガイドラインも2022年3月上旬の改訂、策定を目指している。

文:M&A Online編集部

関連リンク:
中小企業庁:事業承継ガイドライン改訂検討会(第1回) 配布資料 (meti.go.jp)