BAGEL&BAGELの運営会社などを傘下に持つJFLAの再生支援が決定

alt
※画像はイメージ

「BAGEL&BAGEL」の運営会社などを統括するJFLAホールディングス<3069>が、2023年9月14日に地域経済活性化支援機構(東京都千代田区)に対して再生支援の申し込みを決議。支援の決定を受けました。

JFLAはA種優先株を発行して20億円を調達し、同機構から経営人材を受け入れます。

同社は2021年3月期から3期連続の純損失を計上しており、2023年6月末時点の自己資本比率は12.0%。1年内返済予定の長期借入金が約20億円、長期借入金が約60億円ありました。JFLAは債権放棄は行わず、リスケジュールによって返済を行うとしています。

この記事では以下の情報が得られます。

・JFLAの業績推移
・事業再生計画の内容

再起を誓った直後に襲い掛かるコロナ禍

JFLAの前身となる会社がプライム・リンク。この会社はフランチャイズ加盟店の開発事業を行い、2012年に倒産したベンチャー・リンクの子会社でした。プライム・リンクは、ベンチャー・リンクが加盟店開発を行って大成功を収めた焼肉店「牛角」のエリアフランチャイズ本部の権利を取得し、事業を展開していました。

2007年1月に株式移転でアスラポート・ダイニングを設立し、ジャスダックに株式を上場。その後は「とり鉄」など居酒屋店の運営会社を次々を買収しました。また、弘乳舎(熊本市)、茨城乳業(茨城県石岡市)などの乳製品の製造会社も連結子会社化し、ロールアップ戦略を軸として企業規模を拡大してきました。

2015年4月にTaco Bell社とフランチャイズ契約を締結。「Taco Bell 日本1号店」を開業しました。海外企業との取引をきっかけとして、海外展開を本格化します。

同年5月に日本食レストランなどを運営するT&S Enterprises (London) Limited、S.K.Y. Enterprise UK Ltd 及び Sushi Bar Atari-Ya Limitedの英国法人3社を連結子会社化。翌年の3月には同業態を展開するアメリカのPacific Paradise Foods, Inc.を取得しました。

しかし、海外の急展開に店舗運営が追い付かず、2019年3月期に海外事業で6億6000万円の営業損失(前年同期は9400万円の営業損失)を出しました。その結果、17億2300万円の減損損失を計上。2019年3月期は29億3100万円の純損失(前年同期は8億4300万円の純利益)を出しました。

この大赤字はいわば再生への足掛かりであり、構造改革費用とも言うべきもの。その証左として、JFLAは2020年3月期に16億8900万円の純利益を計上しています。ここから反転攻勢に向かう計画でしたが、突如として新型コロナウイルス感染拡大という脅威に襲われました。

2021年3月期は売上高が前期比13.9%も減少し、25億5800万円もの純損失を出してしまいます。

決算短信より

JFLAは2022年3月期に時短営業に対する助成金などとして12億6900万円を得ていますが、黒字化するには至りませんでした。3期連続で巨額の赤字を計上しています。

人件費や不採算企業の切り離しによる大リストラへ

2024年3月期第1四半期においても黒字化ができず、再生支援へと至りました。

JFLAは製品の値上げや製品ポートフォリオの見直し、不採算子会社の整理などを軸とした事業計画を発表しました。

※「事業計画の策定に関するお知らせ」より

JFLAは低採算製品の製造販売廃止、設備投資による人件費の削減、債務超過に陥っている子会社などの売却、不採算工場の閉鎖、その他販管費などのコスト削減を行います。トップラインを伸ばす施策は値上げのみとなっており、リストラ策の中心は経費削減です。厳しい冬の時代を迎えると言えるでしょう。

事業再生計画期間は、地域経済活性化支援機構から派遣される人材が経営を行います。子会社にも人員を派遣して徹底したガバナンス体制を構築します。

会社が窮地に陥ったのはコロナ禍によるものとの判断から、JFLAの役員は留任を予定しています。しかし、機構はマネジメントキャパシティを超えた企業群を形成しており、経営管理体制が不十分で経営資源が分散。グループとして保有する中核能力が十分に有効活用されていない状況にあると指摘しています。

JFLAが統括する子会社の債務はすべて親会社に集約して一元化。2024年1月31日を予定日とするクロージング日付で、再生計画に基づく一定の範囲内で一律弁済を行います。機構はクロージング日にJFLAに対して24億5000万円の融資を行う計画です。

返済しきれない債務についてはリスケジュールを要請。債権放棄や債権を株式化するデット・エクイティ・スワップは行わないとしています。

地域経済活性化支援機構は、事業支援を行うことを目的とした官民ファンド。これまで、グランビスタ ホテル&リゾート、阿蘇熊牧場などの支援を行った実績があります。

コロナ禍で飲食店の置かれる状況は一変しました。環境の変化に取り残され、業績悪化に苦しむ飲食企業は少なくありません。JFLAのようなケースが目立つようになるかもしれません。

麦とホップ@ビールを飲む理由