ソニーが販売するEV、意外と「お安く」乗れるかも

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「ソニー」ブランドの電気自動車(EV)が誕生する。ソニーグループ<6758>が米ラスベガスで開いているテクノロジー見本市「CES」で、2022年1月4日に明らかにした。今春にEV事業を手がける新会社「ソニーモビリティ」を設立し、EVの市販に向けて始動する。このソニー製EVは一般消費者の手が届くのだろうか?

ソニーのEVは高級車になる

現時点ではクーペの「VISION-S 01」と、5日のCESで発表されたばかりのスポーツ多目的車(SUV)の「VISION-S 02」の試作車2台が公開されているだけで、どのようなEVが発売されるのか分からない。ただ、一般向けの大衆EVではなさそうだ。

その理由は量産化の難しさにある。現在、世界最大のEVメーカーである米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は「EVよりも、量産設備を開発する方がはるかに難しい」と告白している。ソニーが大量生産が必須の大衆EVを手がけるのは難しいだろう。

少量生産で利益が出せる高級EVをターゲットにするはずだ。ソニーのブランドイメージを向上する効果もある。米アップルはEV参入で外部への委託生産を模索しているが、ソニーも同様の選択をするだろう。ソニーの試作EVを手がけたオーストリアのマグナ・シュタイヤーなどが委託生産先候補だ。

リカーリング型ビジネスでソニーEVに手が届く?

では、どれぐらいの価格になるのだろう?最低でも500万円以上、1000万円を超える可能性もある。「高嶺の花」のEVになりそうだ。では、一般の消費者とは無縁のEVとなるのか?まだ望みはある。吉田憲一郎ソニーグループ会長兼社長は「EV事業をリカーリング(循環)型ビジネスにしたい」と話している。

リカーリング型は製品を売って終わりではなく、その後も顧客から継続的に収益をあげるビジネスモデルを指す。サブスクリプション(会費)型は支払額が定額なのに対し、リカーリング型は使用量によって変わる。EVの場合は走行距離に応じた課金となるかもしれない。

車両価格を分割してリカーリング価格に上乗せすることで、EV購入の敷居を低くすることもできそうだ。ソニーの試作EVを製造したマグナは、トヨタ自動車<7203>の高級スポーツカー「GR SUPRA(スープラ)」を生産している。スープラ「SZ-R」(税込価格601万3000円)の車両リース料金は月額7万円台から。決して安くはないが、手が届かない金額でもない。ソニーのEVに乗るのが「夢」ではない可能性もある。

文:M&A Online編集部