最強チームは風通しも良く、ハラスメントとも無縁

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(写真はイメージ)

1.どうする課長!~様々なアドバイスに課長は困惑している

「人的資本経営」の時代、経営トップからは「人はコストではない。会社を支える資本である。社員全員のエンゲージメントを高めることが大切だ」と促されます。一方、不祥事が起きるとどうでしょう。経営トップからは「風通しの良い組織を作れ。ハラスメントのない組織を作れ」と指示されます。

リーダーシップ論も多様です。管理者研修では「目標を達成すること。これが課長に課せられた最大の責任」、「人材育成は課長の仕事。これ無くして目標の達成無し」、「部下を使うのではなく、部下に使われることが大切だ」、「逃げるな。課長が逃げていてはチームがまとまらない」と発破がかかります。 課長に課せられた課題は実に多面的で多様です。これらに直面して、多くの管理者が「どうすれば良い組織が作れるのか、どうすれば強い組織が作れるのか」と途方に暮れます。

2「手段」を一旦忘れ、「目的」を考えてみよう~因果関係が逆転し、これでスッキリ

課長に寄せられる多くの指摘やアドバイスは、ある目的を達成するための「手段」がその主な内容になります。「こうすれば、チームが良くなる」、「こうしたらチームがもっと強くなれる」と言った具合です。確かにどれも説得力があります。しかし、これらを実際に取り入れる段になると大いに迷います。選択する「手段」は沢山あり、それぞれに一理あるからです。

このようなとき良い思考法があります。「手段」を一旦忘れて、「目的」そのものを考えてみることです。つまり「自分は一体どのようなチームを作りたいのか」と「実現したいチームの姿」を描いてみることです。

多くの課長が実現したいチームとは次の「最強チーム」でしょう。『メンバー全員が、互いに「健全な競争意識」を燃やし、互いに「切磋琢磨」して、持てる力を十二分に発揮し、チーム目標の達成に向けて頑張っている。』 

このチームの実際の姿を想像してみましょう。 メンバー全員が「自分はチームに大いに貢献している」という達成感・充実感を味わっています。このことは容易に想像できます。自分自身の成長についても確かな手応えを感じ、将来に向けて自信を深めています。このことも容易に想像できます。お気づきの方も多いでしょう。上記の最強チームを構築すると、実は因果関係が逆転します。社員のエンゲージメントを高めると最強チームが作れるのではなく、最強チームを作ると社員のエンゲージメントが結果として高まります。同様に、最強チームを作ると結果として風通しが良く、ハラスメントのない組織が生まれます。何より、最強チームは結果としてチーム目標の達成を常時もたらします。

多くの課長が「目的」を横に置いたまま、「手段」重視で物事を考えがちです。そうではなく、「目的」重視で物事を考えて下さい。「目的が何で、これを達成するために何が必要であるか」と。ビジネスの世界とはもとより目的を達成する場であり、「目的」重視で物事を考えることに合理性と説得力が備わります。

3.最強チームを構築しよう~「求められる人材像」の定義が肝心

最強チームの根底には「メンバー全員の活躍」があり、このための人材育成の仕組みが必要になります。この仕組みのキーになるのが当チームに「求められる人材像」の定義です。この定義を最初に具体的な形で実施することが肝要です。 以下は、ある法人向け営業担当課長が、定義した「求められる人材像」です。

〔当チームで求められる人材像〕
ⅰ) 販売する商品・サービスを熟知している、
ⅱ) 顧客のニーズを理解している。潜在的なニーズを顕在化するのも巧みである、
ⅲ) 上記に基づき、自ら提案書を策定できる、
ⅳ)本部の開発セクションと協同し、高度な提案を実施することもできる、
ⅴ)顧客の満足を引き出し、契約をクロージングすることができる。

このように「求められる人材像」が定義されると、課長は、部下一人ひとりが抱える成長課題を抽出・共有し、適切な指導を実施できます。各メンバーも「求められる人材像」に照らしてどのように努力すれば成長できるかが分ります。若いメンバーは先輩に「ⅱ)のコツを教えて下さい」、「ⅴ)の勉強のために帯同訪問していただけませんか」とお願いできます。 「求められる人材像」の定義があれば、チームの中に様々な相互作用が生まれ、お互い刺激し合い、切磋琢磨する雰囲気が自然と出来あがるのです。

上記の他、「業績進捗状況の見える化」の実施も推奨します。これは成績の悪い部下を怒るためのものではありません。チーム内の成功・失敗案件の情報共有を促進させ、また、業績進捗が遅れている部下をチームとしてどのように支援するかを検討するためのものです。 落ちこぼれをつくらないこと、全員が達成感・充実感・成長感を味わうことができること。これが最強チーム作りには不可欠です。

株式会社インソース より