ハラスメント防止研修を語る~ハラスメントをなくし、心理的安全性の高い職場に導くヒントとは(中編)

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安心して働ける職場は、ハラスメントを防ぐだけでは実現できません。中編では、心理的安全性というキーワードを軸に、管理職やチームリーダーが果たすべき役割、そして日常のコミュニケーションがいかに職場の空気を左右するかを考察します。名前の呼び方や言葉遣いといった些細なことが、信頼関係にどう影響するのか――そのヒントがここにあります。

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心理的安全性の向上は、管理職の役目です

小林:「うっかり言っちゃった」「つい出ちゃった」という場合、言われた本人が「嫌です」「不快です」と、はっきり伝えるのが一番いいと思いますが、仕事相手だとそうもいきませんね。そして、言った方は悪いと気づいてないことがほとんどです。

もし、言われた人が嫌だと言えない雰囲気であれば、周囲が代わりに伝えてあげたり、その場合も言った方の立場が悪くならないよう、後でさりげなく伝えたり、そういう職場の環境づくりも大切だと思います。これは、管理職の重要な役割ですね。

安西:いま心理的安全性というキーワードも話題になっていますが、多分この辺りとつながっているのかなと思います。

小林:私の場合は、何か変なことをすると周囲が注意してくれるので、そういう環境はできているようです。ただ、この環境を私自身が意識して作り上げたという感覚はあまりありません。管理職としてこのような組織風土を率先して作るためには、安西さんが言われた心理的安全性は重要なポイントになってくると思います。

安西:メンバー各人が心理的安全性に寄与するというのが基本なのですが、やはりカギを握っているのはリーダーや管理職です。そのため、管理職自身が心理的安全性を向上させるために重要な立ち位置にいるということを、まずは認識することが大事ですね。そうでないと、メンバーがどれだけ意識をアップデートしても、風土として組織全体に定着させるのは難しいのではないでしょうか。

小林:あとはやっぱり、日頃から1対1で話ができる関係を作っておくのも大切だと考えます。ただ、人数の多い部署の管理職は全員と話すのは難しいと思いますので、そういう場合は監督者やチームリーダー的な人が、一人ひとりと深いコミュニケーションを取ることでフォローができます。そういう部分が、シンプルだけど重要な気がします。

安西:日々の日報で何か不安や不満を抱えていないか確認することでも、状況を察知できるかと思います。面と向かってのやり取りにこだわらずとも、文章でもある程度のコミュニケーションはとれますから。

小林:色んな方法を駆使して、普段からお互いに対話することが大事ということですね。部下が相談しづらいと感じる管理職の中には、一方的に話して部下の言い分を聞かない人が多い印象です。そういう人は得てしてコミュニケーションがとりにくい。

安西:何かを伝えた時に、きちんと聞いてくれなかったり、否定のリアクションが多い人だと、相談したくなくなりますよね。そういう日頃のコミュニケーション、言葉遣い一つ取っても、良い職場環境づくりには大事な要素です。

「なぜダメか」理由を知ることが重要

小林:名前の呼び方も、ハラスメントの問題のひとつです。インソースでは原則として、役職や性別関係なく「さん付け」で呼び合うことになっています。

あだ名で呼んでいる職場もあると聞きますが、ビジネスの場であだ名はハラスメントと受け取られる場合もあります。

安西:今までOKだった環境でも、今後はだんだんシビアになってくると思います。「〇〇ちゃん」という呼び方も難しいですね。

小林:ちゃん付けはなぜダメかというと、「相手から一人前として見られていない」など不快に感じる人がいるからですね。そして、これらのNGは単純にダメだと覚えるだけでなく、なぜダメなのか理由を知ることが重要です。

安西:確かにそうですね。「よくわからないけどダメだと言われたからやめよう」と思っている人は、きっとまた似たようなことをしてしまいます。

小林:なぜダメなのか理由を知ると、意識が高まる気がします。インソースのハラスメント研修では、ハラスメントになるかもしれない「グレーゾーン」について受講者自身に考えてもらいますが、なぜダメなのかの理由をしっかりと学べるので、意識が高まるとともに、その他の言動にも応用が効くようになります。

安西:そうですね。英単語のようにNG単語集として覚えるのではなく、理由で覚えた方が良いと思います。

小林:暗記ではなくきちんと理解していないと、それとは違う言葉で類似のNG発言をしてしまい「これはダメって言われなかったのに」となりかねない。まあ、それは極端な例ですが。

安西:研修の場でディスカッションなどをする中で、「ああこういう理由で駄目だったのか」と腑に落ちると、しっかり学びを持ち帰れるんじゃないかと思います。

株式会社インソース より

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