少子高齢化が進行し、高年齢者雇用安定法により65歳までの雇用機会確保が求められる中、シニア人材の活用促進は企業の持続的成長と人材確保に向けた重要な経営課題となっています。
このような状況を踏まえ、インソース総合研究所では、シニア人材の活用状況の実態や促進に向けた課題の把握を目的とした調査を実施しました。
この調査では、シニア個人および人事担当者双方の視点から、シニア人材の活躍に向けた課題を確認し、今後の課題解決への示唆を明らかにしています。本調査報告は、単なる市場動向の確認にとどまらず、「シニア人材の意欲低下や処遇への納得感に、なぜ課題が生じているのか」「次にどのような手を打つべきか」を見極めるための、実務に役立つヒントとしてご活用いただけます。
シニア人材活用でよくある企業の課題
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役職定年・定年後再雇用を導入しているが、本人のモチベーション維持に悩んでいる
シニア個人・人事担当者の双方で、ロールモデル不足やモチベーション維持の難しさが課題として挙がることは多くあります。役割や立場が変化する時期に、どのように前向きな活躍につなげるかが重要です。
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シニアに期待する役割や評価基準を明確に示せていない
役職定年や再雇用により、業務内容・責任・報酬・評価のあり方が変化する中で、本人が「何を期待されているのか」「どのように評価されるのか」を理解できないと、納得感や意欲の低下につながりやすくなります。制度上の雇用継続だけでなく、役割や処遇への納得感を高めることが、継続的な活躍につながります。
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シニア向けのリスキリングや学び直しをどう進めるべきか悩んでいる
新スキル習得においては、シニア個人・人事担当者の双方が「必要スキルの明示」を重要な解決策として挙げています。研修を実施するだけでなく、職種や役割に応じて何を学ぶべきかを示すことが重要です。
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上司や周囲の従業員との関係づくりに課題を感じている
シニア人材活用では、本人だけでなく、年下上司や周囲の従業員との相互理解も重要です。世代間の価値観の違いや、役割転換への戸惑いを前提に、職場全体でコミュニケーションを整える必要があります。
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シニア人材活用を「雇用継続」にとどめず、組織の力に変えたい
雇用継続の制度を整えるだけでは、シニア人材の活躍促進には十分ではありません。経験・知見の継承、専門職ポストの創出、後進育成や知識継承を担う役割の設計など、組織貢献につなげる仕組みづくりが求められます。
調査データからわかった5つのポイント
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【マインド面】ロールモデル不足やモチベーション維持が大きな課題となっている
シニア個人・人事担当者の双方で、「ロールモデル(同年代成功事例)の不足」が最上位の課題となっています。また、シニア個人では「モチベーション維持の困難」も上位に挙がっており、今後の働き方を前向きに描きにくいことが、マインド面の重要な課題として読み取れます。ポジションカテゴリ別に見ると、特に役職定年や定年を控えた層で、モチベーション低下やマインド面の不安定化が表れやすい傾向も見られます。
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【知識・スキル・経験の活用面】シニア個人は仕組み不足、人事担当者は把握不足を上位課題としている
シニア個人は「スキル棚卸しの仕組み不足」や「継承の仕組み不足」を上位課題として挙げています。一方で、人事担当者側では「シニアの悩みを把握できていない」ことが最上位の課題となっており、本人が感じている課題と、人事側が重視する課題には違いが見られます。
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【新スキル習得面】双方で、必要スキルの明確化が重要な課題として示されている
シニア個人・人事担当者の双方で、必要なスキルが明確になっていないことが重要な課題として示されています。学び直しやリスキリングを進める以前に、どの役割にどのようなスキルが求められるのかが見えにくいことが、新スキル習得を阻む要因として読み取れます。
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【コミュニケーション・人間関係】本人のマインドチェンジと、周囲との関係づくりに認識差が見られる
シニア本人のマインドチェンジの難しさが課題として挙がっています。一方で、人事担当者側では、シニア本人だけでなく、年下上司や周囲の従業員との関係づくりも課題として捉えられています。本人側と人事側で、コミュニケーション課題の捉え方に違いが見られる点が特徴です。
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【IT・業務インフラへの適応】新しいツールや業務環境への適応に課題が見られる
シニア人材が新しいツールや業務環境の変化にどのように対応していくかが課題として示されています。IT活用そのものだけでなく、業務の進め方や情報共有の方法が変化する中で、シニア人材が円滑に業務へ適応できるかが重要な論点として読み取れます。
シニア人材活用を進めるための4つのポイント
ポイント1 期待役割の明示が、意欲維持の出発点になる
シニア人材が前向きに活躍し続けるためには、「これから自分はどのように貢献できるのか」を具体的にイメージできることが重要です。そのため、まずは評価を見える化し、期待役割を明示することが有効です。そのうえで中長期的には、組織貢献、社内コンサルなども評価対象に含めた「シニア向け人事評価基準の策定(多元的評価制度の導入など)」を進めることで、シニア人材の納得感と活躍を支えやすくなります。
ポイント2 必要スキルの明示が、新スキル習得とIT適応を後押しする
シニア人材の新スキル習得を進めるには、研修機会を増やす前に、まず「何を学ぶべきか」を明確にすることが重要です。必要なスキルが曖昧なままでは、本人が学び直しの方向性を描きにくく、学習意欲の低下や支援制度への不満にもつながりやすくなります。そのため、人事主導で、職種や役割ごとに必要なスキルを整理し、専門スキル、技術スキル、ヒューマンスキルなどを文書化・明確化することが求められます。
ポイント3 本人だけでなく周囲を含めた関係づくりが必要になる
シニア人材活用を進めるうえでは、本人のマインドチェンジだけでなく、年下上司や周囲の従業員との関係づくりも重要です。シニア本人だけに意識変革を求める形では、施策が十分に受け入れられない可能性があります。そのため、シニアだけのマインドチェンジ研修ではなく、ダイバーシティ研修を、周囲も含めた相互理解の機会として設計することが理想です。シニアの知見を活かしながら、職場全体で好循環な関係をつくることが、コミュニケーション面の課題解決につながります。
ポイント4 役職定年・定年前後の役割設計と支援が必要
シニア人材の課題は、年齢だけで一律に捉えるのではなく、役職定年や定年、再雇用といったポジションの変化に応じて考える必要があります。特に、役職定年や定年を控えた時期は、今後の働き方や組織内での位置づけを再確認する重要なタイミングです。人事主導で定年後の新たな役割や期待される貢献を早い段階から明確に示すことが必要です。キャリア研修、面談、スキル整理、配置検討などを体系的に進めることで、シニア人材の継続的な活躍を支えることができます。
シニア人材活用の第一歩は、課題を正しく把握すること
シニア人材活用を進めるうえで、本当に重要なことは、「シニア人材活用の制度があるか」ではなく、「なぜ活躍につながっていないのかを把握できているか」です。
- ロールモデル・成功事例の不足
- シニア個人の悩みや強みの把握不足
- 期待される役割や評価基準の不明確さ
- スキル棚卸し・知識継承の仕組み不足
- 必要スキルや学び直しの方向性の不明確さ
- 年下上司や周囲の従業員とのコミュニケーション上のギャップ
- 役職定年・定年前後など、ポジション変化への支援不足
など、これらの課題を整理しないままでは、シニア人材が生かしきれないままになってしまいます。本調査報告は、そうした状態から一歩進み、シニア人材の経験・知見を組織の力に変え、継続的な活躍、知識・経験の継承、後進育成へつなげるための見直しのきっかけに、ご活用いただければと思います。
株式会社インソース より
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